むらJ

ひめゆりの塔のむらJのレビュー・感想・評価

ひめゆりの塔(1953年製作の映画)
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病院の描写が、『ドンバス』の避難所のそれと重なる。両者ともに人間が鮨詰め状態にされているだけでなく、「穴蔵感」というか、外との関係がわからなくなってしまうような感じがする。「どうなっているのかよくわからない」という認識上の類似点。
「どうなっているのかよくわからない」という感覚は、また少しバリエーションを変えて戦場そのものでもある。戦争映画を見ていると、相次ぐ爆発の轟音や光、土煙、そして人間の流血によって一種のショック状態になり様々な感覚が奪われていく。特にそれが白黒ならばなおのこと。空間的、地理的に自分(主人公)がどうなっているのかよくわからない。
思い出されるのは慰安婦の語り。自分がどこにいるのかよくわからなかった、しかし沖縄にいた。自分がどこにいるのかわからないということがすごく怖かったと。曖昧さ、カオスのなかにいるということは人間に恐怖を呼び起こす。
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