いけだん

栄光のランナー 1936ベルリンのいけだんのレビュー・感想・評価

3.7
 ナチス政権下で開催された1936年ベルリンオリンピックの陸上競技で活躍したジェシー・オーウェンスの話。

ベルリンオリンピックが、ナチスにとって国力と主義を伝える重要な大会であり、その中で人種差別を中心に翻弄される選手や選手の周囲の人たちを追った本作は、多くの日本に住む日本人にとって常に理解しきれない部分があるだけに貴重な作品だと思います。

主人公のジェシー・オーウェンスについては既に知っていることも多かったのですが、この作品を観て初めて知った事実もありました。

ジェシー・オーウェンスのライバルだったドイツのロングの行動は、この作品で最も感動しました。

スポーツ選手にとっては、国と国との状況や人種は関係のないことで、ライバルとは正々堂々と戦い、そして讃えたいというスポーツマンに沿った行動をしたロングという選手がいたことに驚きと、ナチス政権下のドイツで多くのドイツ人がナチスに熱狂していたこの時代に、ロングのような選手がいたことに、救いを感じました。

そして、決して「ナチスが悪くてアメリカは素晴らしかった」というまとめにしていないところも、本作を評価したいポイントです。
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