H4Y4T0

旅立ちの時のH4Y4T0のレビュー・感想・評価

旅立ちの時(1988年製作の映画)
4.0
シドニー・ルメット監督作品鑑賞2作目。
両親が過去に犯した過ちが原因で、逃亡生活を余儀なくされた一家の物語。
これまたヘビーな内容だが、作風自体はだいぶマイルドな作りとなっており、主演のリヴァー・フェニックスあってこその爽やかな印象が際立つ「青春映画」として堪能することができた。
『スタンド・バイ・ミー』公開から2年が経ち、リヴァー・フェニックス当時18歳。
絵に描いたような美青年への成長っぷりに驚いた。

平和運動と銘打ったとて、テロ活動=立派な犯罪行為。
反戦目的でナパーム爆弾工場を爆破するも、たまたまそこに居合わせた守衛に重症を負わせてしまう。
・・・いや、いくらなんでもやりすぎだろ。他にもやりようがあったのでは?と思う。
確かに一人の重傷者より何百人だか何千人だか知らないが多数の犠牲者を防ぐ、といえば聞こえは良いのかもしれないけれど何故だろう釈然としない。
世間を欺く為の隠遁生活を送ることは、世間から許しを請うよりも大変なこと。
何より巻き込まれる形となった子供達が不憫でしょうがない。

一方で家族の絆は深まり、結託しながら怯える毎日に立ち向かう。これこれが本作の真骨頂。
学生ならではの悩みや恋模様を描いたシーンはさながら甘酸っぱい青春活劇。
アニーの誕生日会のシーンに思わずほっこり。一家団欒さえ手に入れば、他には何も要らないのかもしれない。
親の“愛情”が子の“誠実”さを育む、そんな切実なメッセージが密かに込められているように感じた。
腑に落ちない点を除けばもう少し評価できたのに・・・惜しい。
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