あんじょーら

ココシリのあんじょーらのレビュー・感想・評価

ココシリ(2004年製作の映画)
3.0
中国のチベット地方に標高4700メートルの秘境「ココシリ」を舞台にした実話を基にした山岳パトロール隊の物語です。
ココシリはとても危険な秘境です、荒涼とした大地で、流砂もあり、しかも広く、そしてとても美しい場所です。最高級のチベットカモシカの生息地でもあります。そこではチベットカモシカの密猟を行う者を捕まえる山岳パトロール隊がいます。その山岳パトロール隊の隊員が密猟者に射殺されるという出来事が起こり、その取材に北京から来た記者ガイが山岳パトロール隊に同行し、そこで見たものをレポートする物語です。


チベットカモシカの虐殺され、皮を剥がれる数はすさまじい数です、法を犯し、自然を破壊する行為です。しかし、密猟者の手下たちにも生活があります。食べていく、生きていくために、皮を剥ぐことを生業にしている者もいます。しかし、それでも見逃すわけにはいかない、自然を守るためのパトロール隊の過酷ですさまじい17日間の密猟者を追う旅にガイが同行します。隊員たちは隊長であるリータイのもとに結束してことにあたります。ココシリをパトロールするというのは、生死の境が非常に近いところでもあるのです。些細なことで生命を維持できなくなる場所であり、神秘と聖なる場所でもあるココシリの自然を守る使命だけでは済まされない執念を、その執念を越えたところのドラマを、見せてくれます。


荒涼とした大地と独特の美しい風景、乾いた風の音、満天の星空、冷たい川、その自然そのものの美しさと、パトロール隊のギリギリの決断との落差が、男たちの覚悟と結末のすさまじさが、カタストロフィを生み出します。

自然に興味のある方に、人間ドラマに興味がある方にオススメ致します。

もし、撮影中のメイキング映像があるなら、それも見てみたいです、そちらにこそ、もっと深い感動があるかもしれません。何故なら、やはり、ドキュメンタリーではなく、映画だからこその計算された部分が気になるところもあるからです。役者さんは素晴らしいし、映像も凄いですし、カット割りも良いのですが、脚本に、もっとドラマ的な部分をそぎ落とした方がより、カタストロフィは大きかったのではないか?とも感じたからです、好みの問題かもしれませんが。