うみとしょうねん

橋の上の娘のうみとしょうねんのレビュー・感想・評価

橋の上の娘(1999年製作の映画)
3.0
誤解を恐れずに言うならば、中身の空っぽさが良いと思った。教訓とかなんも無くて、それでいいと思った。

ズバリ「運」にフォーカスされているし、二人の関係性も友情とも恋愛とも違う、信頼と不安が表裏一体となったような綱渡りのような感情で互いに繋がっているのが感じられた。

たしかに人間とか人生とかいうものって「運」とか「一言では言えない関係性」が占める割合も実は多いのでは。

男女の関係をありきたりなラブシーンに頼らず、ナイフ投げとそのマト役という関係性で表現しているのが斬新だった。むしろ「二人を絶対にそういう仲にはさせないぞ」という強い意志が画面から伝わってくるくらいだった。

あと、自分の記憶が間違いでなければ、劇中で男と女が互いを名前で呼ぶ場面が一切なかったと思う。それも意図的だと思った。

マト役の女を演じるヴァネッサ・パラディの息遣いや表情、突き刺さったナイフのすぐそばで震える柔肌…そういったものから生まれる緊張感で描かれたこの官能は見る人が人なら、時期が時期なら何かヘンなものに目覚めるんじゃなかろうかと要らぬ心配にハラハラした。

自分はそこまで惹かれなかったが。

あと、ナイフ投げ役の俳優の顔が自分の苦手な日本の某俳優に似ていて気が散った。