ルーク大佐

預言者のルーク大佐のレビュー・感想・評価

預言者(2009年製作の映画)
3.8
刑務所を仕切るコルシカギャングのボス役ニエル・アレストリュプの演技は存在感があった。血走った目つきはリアリティがあるし、血気盛んなふるまいはとても老体とは思えない。『イニシェリン島の精霊』で名を挙げたブレンダン・グリーソンとも雰囲気が似ている。パシリ役タハール・ラヒムのキョドリ方とのマッチングもよかった。

悪党のルールは強い者が勝ち、弱い者は搾取される。手柄を立てれば論功行賞で出世する。下手をこいたり、裏切ったりすればつぶされる。国柄や人種を問わず、ほぼ悪党世界では普遍的なルールだ。

そのルール下でどうすれば自分のポジションを守れるか、出所まで命を守れるか、などを19歳の若者役ラヒムは考えたのだろう。コルシカギャングに身を寄せ、コルシカ語を必死で学び、決してボスには逆らわない。チャンスが来るまでジッと耐える。

ボスとパシリ役はふたりとも好演だった。2時間半もの長尺にも限らず、淡々と物語を引っ張っていた。このあたりは監督の演出力もある。
ラストの音楽は解放感と愉悦感があり、後味がよかった。
ルーク大佐

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