メイザ

パリ・オペラ座のすべてのメイザのレビュー・感想・評価

パリ・オペラ座のすべて(2009年製作の映画)
2.5
観たかったんです。コレ!! パリ国立オペラ団の綺羅星のごときエトワールたちがいかに一つの作品を作り上げていくか、という様子を84日間に渡ってつぶさに追ったドキュメンタリです。 いや、これが激闘160分の大長編でございまして。 観る側の先入観を廃し、ひたすら判断をゆだねるかのように、ノーナレーション、ノーBGM。 正直、淡々とダンサーの試行錯誤の様子を映し出す中盤までは、  「オイオイ最後までこのままかよ・・・」  「これ全部観させないと表現できないことなのかよ・・・」 と、若干キモチが折れかけますが(現にダンナは爆睡してましたww)、そこを乗り越えれれば、後半三分の一から「ああ、さっきのアレがこうなるのか!!!」と、怒涛の展開に魂が揺さぶられること保証つきです。 なかでも「メディアの夢」の完成作品には心わしづかみにさせられます。ものすごいです。  * * 「身体を使って何かを表現する」ことっていうのは、誰でもできる。 しかし、「誰でもができないこと」といったものも厳然として存在し、選ばれた者だけが己の生涯のすべて・・・本当に「全て」!!・・・を捧げることと引き換えに到達する境地というのものがあるのです。 すごいね。ダンサーって。 「みんなができないこと」を代わってやっている職業、もっと残酷に表現すれば、ある意味悪魔に魂を売り渡すにちかい犠牲を払って成し得る業なんだなぁ。 だからこそ「42歳定年」というある意味残酷なデッドラインがあり、そこから先の生涯全てを「国」が面倒みるんです。「42歳から年金暮らし。」そこだけ聞くとなんとも優雅な!と聞こえますが、観終わった後では、「うん。それに見合う代償を彼らは捧げているもんな。さもあらん。」と、すとんと腑に落ちる感じがしましたです。 でもね~、やっぱりダンサーの9割は白人だし、その裏で壁塗ったり賄いを作ったりという裏方はColoredなわけですよ。いかに実力主義で、生涯のすべてを捧げるモノだけが生き残れる世界だとはいえ、その辺にも越えられない残酷な溝が横たわっていることにはかわらないんだなぁと。そんなこともぼんやり考えました。   * * しかし、国立を名打つだけに100%クラシック専門商社だと思い込んでいたんですが、コンテンポラリーにも果敢にチャレンジしているのはスゴイです。そしてベジャール氏も亡くなっていたんですね。 もととダンス・バレエというジャンルに詳しくないとはいえ、お恥ずかしながらこの二点は初耳でございました。すみませ~ん(笑) ちうわけで、観た直後は、あ~~!お・・・終わったぁ・・・と、どっと疲れが出た作品ではありましたが(現場帰りだったからかもww)、後からズジズシと重みが伝わる傑作でございました。体力気力の充実しているときにオススメしますw
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