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激突!のTPのレビュー・感想・評価

激突!(1971年製作の映画)
4.2
★1989年に続き2回目の鑑賞★

 もとはテレビ映画として製作され、後に16分が追加されてスピルバーグ初の劇場公開作品となった本作は、撮影期間たったの16日、テレビ映画なので製作費も抑えられている中で製作されたにも関わらず、映画の醍醐味に溢れている。

 ストーリーは単純明快で、しがないサラリーマンの車に追い抜かれたタンクローリーが執拗にその車に絡んでくるという内容でしかない。
 しかし、その恐怖をあおる編集や、スピード感を増長させる撮影手法、時折挟む車外のエピソードなどにより、手に汗握る展開が延々と続く。
 スピルバーグ自身が認めているように、本作は巻き込まれ型サスペンスでヒッチコック作品を多分に意識したドラマ演出をしており(特に途中のトラック運転手がたむろするレストランのくだりやタンクローリーの運転手をほとんど見せないところなど)、単純な追いかけっこにしていないところも飽きさせない要因。

 現代で大きな問題になっている煽り運転。それを50年前にすでに題材にしている先見の明もあるし、今でも十分通用する内容。若き日のスピルバーグのエネルギッシュな力も感じることのできる佳作。

 ただ1点。主人公は商用先との約束時間に遅れないように道を急ぐのだが、タンクローリーの執拗な絡みにより明らかに時間に間に合わない状況になっている。それなら途中で引き返して家に戻ればいいんじゃないかと、後半はそんな愚考が頭から離れなかった。
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