スギノイチ

三匹の牝蜂のスギノイチのレビュー・感想・評価

三匹の牝蜂(1970年製作の映画)
2.0
太陽の塔の下、大阪万博のために来日した外人達や観光客を狙い、娼婦やヤクザがギラギラと走り回る…
と書くと、なんだか裏昭和史的なドラマが見られるのではと期待してしまうが、その設定にほぼ意味はない。

エロもおっぱいがちょっと見えるくらいだし、暴力に至っては激ヌル。
リンチシーンすら遊んでいるように見える。
特長としては、若かりしピーターや和田アキコといった面々が登場する点。そのキャラのブレなさは凄い。
特にやくざを恫喝し一蹴する和田アキコ。この頃から既にドスが効きすぎで怖い。
ちなみに、主題歌『牝蜂のフーガ』を歌うのも和田アキコ。物凄く珍妙な歌である。

正直、演出から何から、特別秀でたものを感じない映画だが、朱く照らされた大原麗子の美しさは十分把握していたようで、チンケなアバズレ役でありながら非常に魅力的に映っていた。
その相手役となる渡瀬恒彦も何だかつまらない役ではあるものの、大原麗子を守るためにドスを抜いて兄貴分の小池朝雄に牙を剥く形相は「芸能界最強説」を裏付けてしまいそうな迫力だ。
(この映画の小池朝雄はなぜか坊主頭。坊主頭で頭回りそうないでたちはいつもよりやくざっぽく見える)

完全に役者を観る映画ではあったが、各々の特性を十二分に活かしたシーンが1つはあったりするので、意外と侮れない映画なのかも。
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