aymyamya

ショーシャンクの空にのaymyamyaのレビュー・感想・評価

ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)
5.0
「重厚」という言葉に尽きる。
キャストが生み出す、登場人物たちの息づかい。
物語の中で流れる20年という歳月。
物語の中で20年を過ごし、鑑賞後2時間半しか経っていないなんて。逆浦島太郎のような気分になった。
ティムロビンス、モーガンフリーマン
二人の眼差しの凄味。現実の入り込む余地がないほどに没入した。


「無実の罪」を着せられ自由を奪われ世の中から隔離され、塀の中いつまでともなくただ生きる服役囚たち。
尊厳を叩きのめされ文化を奪われ外とは違う規範のなか、
いかにして人間たる豊かさを手放さず、掴み取り、保ち続けるのか。
救いはどこにあるのか。
社会の内か外か、聖書の中か。

「無実の罪」を着せられた彼らに死をもたらす者は無罪。なんと残酷な皮肉か。


ふと、予備校生時代「刑務所と学校は社会から隔絶された場所だ」と言っていた先生の言葉がよぎる。
たしかに、作中では煙草が金同様通貨価値を持っていたし、塀の外とは全く別の規範があった〜〜

この作品が、日本アカデミー賞しか受賞していないなんて。いや、でも確かに叙情作品としてのこの作り込まれ様は、日本の映画に近いかもしれない。

こんな突き抜けた作品を、今の今まで観る機会がなかったなんて。しかし家で、オンザベッドで観る作品でもない…
そんな貴重な機会をくれた午前十時の映画祭ありがとう。
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