マーセルいいひと

地獄の黙示録・特別完全版のマーセルいいひとのレビュー・感想・評価

地獄の黙示録・特別完全版(2001年製作の映画)
3.9
観るのにとてもエネルギーの要る映画。フィリピン軍から戦闘機やヘリを借り、実際の戦争さながらの爆薬や兵器を使って撮影されたという本作は、その戦闘シーンの映像の迫力はもちろんだが、戦闘シーンでない部分の映像も重厚で見応えがある。

目的地に向かうまでの道中に様々なひとたちに出会うことで、ベトナム戦争の実態が見えてくるという構図により、おおまかなストーリーにおいて冗長かなともおもう部分もあるが、そもそもそのおおまかなストーリーもよく考えてみるとたいした話ではない。
同時代に上映されたベトナム戦争映画『ディアハンター』は一見関係ないとおもわれるだらだらしたシーンも映画全体においては重要な意味を持っていたりすることなどから長尺なことも納得できるが、そういった意味では本作は疑問符が付いてしまう。

また、横道に話が逸れているシーンよりもむしろ本筋であるマーロン・ブランド演じるカーツ大佐が登場してからの終盤のダークな世界観と大佐のキャラクターがしんどく、暗闇のなか詩を朗読してるところなど、その前の登場シーンが良いだけにやめてくれとおもってしまった。とは言え、終始一貫して流れる独特の緊張感、空気感、迫力には圧倒されてしまうし、とても魅力的。
特に、暗すぎるぐらいの光と影のバランスは大好きで、ジャングルでトラが出てくるところなんかのカメラワークと陰影の付きかた、映像の美しさは最高。

あ、序盤のビル・キルゴア中佐のイカレっぷりももちろん大好きです。