Shiho

青いパパイヤの香りのShihoのレビュー・感想・評価

青いパパイヤの香り(1993年製作の映画)
4.3
住み込みで働く少女ムイが、奉公先の長男の親友のグエンに恋をし、その後彼の家で働くことになり、結果、結ばれるというお話。

甘くまったり、時に残忍で耽美な映像と音楽、
ムイの素朴さ、実直さそして優しさがうまく対比されそれぞれが際立っていた。
それは、怠惰で浮世離れした男性たちと、その日その日に生きる働き者の女性たちの対比でもある。
蟻に対して優しい眼差しを向けるムイ、
蝋燭で固めてしまう次男。部屋に見える大きな虫の模型から、虫は好きなはずなのに。
偏屈で生意気な子供達。
邪魔はせず全てを見守るムイ。 

また、ムイと親しくなった老人が念願叶って大奥様を見た時の表情は、非常に陶酔的なシーンで私の好きなところだ。

ところで、オリエンタルな映画は女性の理想化、美化は必須なのだろうか。動かない美しい他者としての南ベトナムの世界。物語の女性たちの描き方は完全なリアリティを持っているとは言えないが、奥様と使用人の老女の描写に私は好感を持った。
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