Ark

コラテラルのArkのレビュー・感想・評価

コラテラル(2004年製作の映画)
4.1
2023-139
タクシー運転手のマックスは、検事の女性を乗せた後ある男を乗せる。ヴィンセントと名乗った彼は、高額を払う代わりに5件の目的地まで一晩中送って欲しいと言う。マックスは了承するが、ヴィンセントは殺し屋だと分かり……。


ずーっと観たかった作品。やっと手をつけた。みんなえらい若いな〜と思ったら、20年近くも前の作品だったんだね。

単なるクライムアクションかと思いきや、生き方を問うメッセージ性の強い作品だった。

ネタバレ↓




トム・クルーズの悪役はレア。そして死ぬ役もレア。なので本作のトム・クルーズは激レア。
にしてもこの人はいつも走ってるな(笑)本作でも猛ダッシュしてた。どこまでも追いかけてきそうな迫力。

ヴィンセントは憎めない悪役として作られてる感じがした。見舞いには花をと言って買ってやり、盗まれたマックスの財布も取り返し、時々“良い人”の片鱗を見せる。でも「仕事」では人を殺すし、冷静沈着で優秀。でもマックスが何をしても何故か殺さない。(仕事の内だったけど)ジャズバーに連れて行ったり、「人生は短い。明日の朝生きていたら彼女に電話しろ」とお節介を言うなど、マックスに友人のような感情を持っているように見える場面も。

「どんな風に育ったらそんなハートのない人間になるんだ」と言われショックを受けた表情を見るに、やはり彼は少なからずマックスを友人として見ている節があると思う。
最後の撃ち合いも普通は素人のマックスが勝てるわけないので、ヴィンセントが勝手に友人と感じている節があったから手加減してしまった……とかなら弾が異様に当たらないのもまだ分かる。
彼が死なないと話が終わらないって分かってたけどやっぱり残念。なんとも不思議な味のある悪役だな。

「いつか夢が叶うと?ある夜目を覚まして気付く。夢は叶うことなく自分が老いたことを」
このシーンのヴィンセントはとても現実的な事を言っている。本作のメッセージの1つとして、行動を先送りにして夢に対して本気で動けていないマックスが目を覚ます話と言えるので、ヴィンセントにこの話をさせたかったんだろうと思う。
車内での2人の会話シーンも良かった。
地下鉄で死んでることに6時間気付かれなかった男の話の伏線回収がキレイ。

プロの殺し屋として優秀である一方、リスク管理の甘さが目立つ。タクシー移動で自ら目撃者を作っちゃうとか、タクシーの上にターゲットを落としちゃうとか、絶対やっちゃいけないミスをしているので矛盾がある。

今回のマーク・ラファロはイケてた。でもこの刑事、唯一“彼ではない”“何かおかしい”と気づいていたのに呆気なくヴィンセントに殺されちゃった。このキャラの意味が謎。

冒頭、ヴィンセントとぶつかってカバンをすり替えるシーンでジェイソン・ステイサムが(カメオ?)出演している。

「宇宙には無数の星があり、その1つにくっついた砂粒、それが人間だ。警察、お前、俺……なんの違いが?」
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