このレビューはネタバレを含みます
2022.54*141
中村錦之助えええ!!!となる映画です。
○中村錦之助のヤバさとは?
・普段は、純朴で、笑顔が非常にかわいい。個人的には声が好き。
↓
・男だから泣かないが、本当は今すぐにでも泣きたい…それぐらい追い詰められたときの演技がすごい。自分の顔の筋肉を全部使ってもああはならない。
今回の『反逆児』でいうと切腹前の独白的シーン。負の感情を全部集約したみたいな演技。
『宮本武蔵』第1作の、木に吊るされた武蔵の顔も同じく凄みがあった。こっちは顔のクローズアップのため、目がとても印象的。
○切腹シーンについて
・ロングショットで、音楽のみ、音無し。
・血は出ない
・介錯…一人目はその役目を放棄。二人目は初太刀に失敗、二度目で達成。
・介錯に失敗するという点では残酷。介錯に失敗する映画がこれ以前にあったのか、調べてみたい。
○best ONE shot
ショットではないが、切腹前の独白。
見てて泣きそうになった。
○脚本、ストーリー
・無駄なくスピーディーな展開。
・陰謀に、(素直になれなかった、間が悪かった等の)偶然と不幸が重なり、人間関係が泥沼へと拗れていく
↓
外国の演劇ぽいなと思う。シェイクスピア悲劇とか?
・和解するのが遅過ぎた夫婦。これはメロドラマ的展開。
・①血縁の壁 ②己自身の壁
○その他
・蛇の皮?を使った占い、藁人形、鳥の丸焼き…と、未開感が匂う
・急な高笑い、陰謀の企みなど、女が強くて恐ろしい
・怪談みを感じる
・切腹介錯の失敗や、馬で人を引き回すシーン、しのの拷問は残酷
・カメラの移動によってフレーム外にあったものをフレームに入れて驚きを誘う…みたいなやり方、常套だがとても映画的だと思った
あらすじ
徳川の父と今川の母のもとに生まれ、織田の娘を妻にもつ三郎信康。
その血がもたらす陰謀に翻弄され、唯一血ではなく絆で繋がっていたはずの幼馴染も徳川の手先となる。彼らに介錯を頼み、切腹を遂げる。
東映
原作 大佛次郎
脚本 伊藤大輔
撮影 坪井誠
美術 桂長四郎
音楽 伊福部昭
編集 宮本信太郎
擬斗 足立伶二郎