点呼係

カジュアリティーズの点呼係のレビュー・感想・評価

カジュアリティーズ(1989年製作の映画)
3.7
ざっくり言うと、ベトナム戦争中とある隊がベトナム人の少女を淫行目的で誘拐し、主人公がそれに対して反抗する物語。
何も考えずに見ていると「あ~アメリカ人最低だな。主人公さっさとこいつら撃ち殺しちまえ」とアメリカ人の愚行に対する憎悪しか感じることはできないが、この映画の題名「カジュアリティーズ(死傷者)」を考えるともうちょっとこの映画にはメッセージが込められてるんじゃないかと思う。戦争ではもちろん銃弾や地雷、爆撃などでたくさんの死傷者が出て、そして裏では本作のように罪のない市民が殺されたりしている。だがそのような殺人を行う兵士たちもまた心を殺されていく。いつどこで敵が狙っていていつ殺されるかわからない。目の前で仲間が殺されていく。そんな情景を目の前にして悲しみや敵への憎悪、死への恐怖を感じ兵士たちは人間としての心を殺されるのだ。戦争の死傷者は数字では表されないところにも存在する。
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