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カジュアリティーズのSYUのレビュー・感想・評価

カジュアリティーズ(1989年製作の映画)
4.0
監督 ブライアン・デ・パルマ
マイケル・J・フォックス
ショーン・ペン
ジョン・C・ライリー

ベトナム戦争の最中、憂さ晴らし的に現地少女を暴行し、あげく殺害した小隊の仲間達を、告発しようとした主人公の兵士が、やがて仲間から命を狙われていく様を描くスリラー。

実話を元にしているという事で、当時見たときは、やはり衝撃的でした。

とても人間とは思えない、悪魔のような兵士達の所業、主犯である軍曹を演じたショーン・ペンの圧倒的な迫力、彼を恐れ従う仲間達。
只一人、主人公だけが倫理感を失わず、懸命に少女を救おうとする姿に胸が苦しくなるとともに、正しいはずなのに裏切り者として扱われ、命の危険にさらされ、絶えず恐怖に怯え生きていかなければならない無常さは、設定こそ違えど組織社会の恐ろしさを抉り出していたと思います。

マイケル・J・フォックスがシリアスな演技に挑み、評価は然程高くなかったようですが、この役は、明るい役が多かった彼が演じてこそ、戦争の闇がリアルに描かれていたのだと、個人的には素晴らしい演技だったと思っています。

ショーン・ペンも上手かったが、部下の兵士役を演じたジョン・C・ライリーの小者感が、本当に憎たらしかった、本当に上手い役者さんでした。

まだ若い頃に、モラルや倫理観の大事さを感じさせてくれた印象的な一本です。

鑑賞日 1990年2月頃 劇場にて
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