Mochizuki

扉をたたく人のMochizukiのレビュー・感想・評価

扉をたたく人(2007年製作の映画)
4.0
ジャンベのリズムと主人公の叫びが心を揺すぶる上質な映画。
ニューヨークを舞台に、孤独な学者と移民青年たちの心を開いていく。

・楽器は何歳になって始めても理屈抜きに楽しい。アフリカの打楽器ジャンベのリズムが心地よかった。
ジャンベを専門に演奏する青年が主人公の教授にレッスンするシーンで「先生は賢いけど、頭で考えちゃダメだ」とアドバイスしていたのが印象的。
・ジャンベや音楽を通じて、主人公と青年は心の交流を得るが、ある日シリア出身の青年は不法滞在の疑いで拘留されてしまう。音楽は、人種や国境を越えて人々をつなげる共通言語として機能していた。しかし法律の壁、国家の壁が友情で結ばれた2人を無情にも引き剥がす。ポスト9・11以降のアメリカの厳しい現実を伺うことができた。

音楽の歓びとアメリカ社会に対するアンチテーゼが巧みに交錯する味わい深い良作でした。
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