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盲獣のフクのレビュー・感想・評価

盲獣(1969年製作の映画)
5.0
大映末期のエログロ志向と増村保造の作家性、江戸川乱歩の猟奇趣味などが混然となって誕生した、実に不謹慎極まりない傑作。
過剰な思い込みに囚われた主人公・船越英二が、やがて周りを巻き込みつつ破滅にいたる以外にない結末まで疾走していく実に増村的ストーリー。
緑魔子の怪し気な魅力と、徐々に内なる狂気を噴出させるに到る船越英二の素晴らしさ。
逃げようとする緑魔子と母親千石規子がもつれ合いながら船越を奪い合うシーンの映画的興奮はなかなか味わえるものではない。
美術、音楽等の仕事も含めて忘れがたい実に増村的な傑作。
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