くんぺい

呪われたジェシカのくんぺいのネタバレレビュー・内容・結末

呪われたジェシカ(1971年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

精神病を患っていたジェシカは病状が改善したのを機に、彼氏と友人の3人で田舎にある農家の家を買い取り移住することにした。引っ越し初日、廃屋だと思って勝手に住み着いていた若い女エミリーに出会い、成り行きで一緒に生活することになる。新たな出会いもあり、心機一転生活が好転していくかと思っていたジェシカ達であったが、ジェシカが相次いで不可解な出来事に遭遇し、再び精神のバランスを崩していく…


この映画は分かりやすい恐怖シーンや、目をそむけたくなるような残酷なシーンは出てきませんが、終始嫌な気分が続く映画でした。

劇中ところどころで主人公ジェシカの思考がセリフとして表現されているのが独特なのですが、精神病を患っていたという過去も影響してか思考がいちいち消極的で暗い。
また、決して溌溂としているとは言い難く引っ込み思案なジェシカの性格や、墓石の模様を紙に移して収集するという一風変わった趣味が、ジェシカに対する親近感を阻害しています。

ジェシカが不可解な出来事に会って助けを求めても、仲間は精神病の件もあって再発を疑って信じてくれない。そうしてどんどんと追い込まれていくジェシカをみていると、完全には共感もできないけれど気まずくて哀れに感じます。
それが最後まで続くので、観ているこちらは終始嫌な気分で観ることに。

それに加えて、自家用車として使用している霊柩車や、新家にまつわる不吉な噂話、排他的な村人、調和を乱すエミリーの存在、ペットとして飼うモグラ(何かの隠喩?)なども映画全体にわたって嫌な雰囲気を醸し出していました。

作品が最後に至るまで、ジェシカ自身のセリフにもあるように、彼女が経験したことは現実なのか悪夢なのかがはっきりとしないのも不気味です。

原題のLET'S SCARE JESSICA TO DEATH(ジェシカを死ぬほど怖がらせよう)というメタなタイトルには、すべては仕組まれたことだったなんていう解釈さえできそうです。

微妙に嫌な気分を感じ続けることができる不思議な映画でした。
くんぺい

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