名無

吉原炎上の名無のレビュー・感想・評価

吉原炎上(1987年製作の映画)
4.8
売っとばされた女の子たちのリアルな気持ちが伝わってきて辛い。
したたかにも色々あるんだなぁ。薄皮一枚隔てて狂ってる人、何もかも受け入れてる人、経験を積んでひたすらのし上がっていく人。

掴めたはずの幸せを自分で棒に振ってめちゃくちゃ後悔したり、自分勝手にまたそれを追っかけようとしてみたり、
人生って上手くいかない事のほうが多いけど、人間なんてこんなもんだよなと思わされる。

ドラマチックなんだけどすごい生々しい。

吉原だから「身体」「容姿」「行為」に価値がつく。
でも、自分の本質を見てくれて、そこに価値を見出して、掬いあげてくれるってこの上なく幸せな事だと私は思う。
これは性風俗以外の世界でも感じる気持ちではないか。

漠然とした承認欲求なのかなぁ。
自分に価値がつけば嬉しいし、認められたらもっと嬉しい。
はみ出したり疎外されたら悲しい。あたりまえのこと。
吉原の女の子たちは殆どがまず家族という一番小さな社会から疎外されるんだもんね。
そりゃ逃げ出したくもなるし死にたくも傷つけたくもなる。踏み台にされたら、悔しい。

それでもいつかそんな自分にも誰かが迎えに来てくれるんじゃないかな、みたいな、そういう悲しい期待をしてしまうのもしんどい。

基本的に人って表面上のことしか見ないから、本当の事なんてきっと誰にも分からないんだろうなって思う。
嘘でいいじゃないか、確かにそう。
人には人の数だけ真実があって、人の数よりたくさん嘘がある。
この世はシステムが違うだけで吉原みたいなものだ
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