吉原炎上の作品情報・感想・評価

「吉原炎上」に投稿された感想・評価

名取裕子が可愛くてえろい。
映画の全部、何もかも儚い。

花魁ってなんでロマンがあるんだろう。
五社監督
明治の吉原遊郭の物語。

名取裕子演じる花魁が、遊郭に来た時から、吉原を去るまでの間
数人の花魁の悲哀を折り込み、女の悲しさを描いてます。

ある花魁は、風のように幕を退き、ある花魁は、夢に破れ。ある花魁は、嘘にまみれ。

男と女の恋の掛合いが商売である業の中で、いつも傷つくのは女だと。

この作品は、素晴らしいと思います。

で、角度を替えて見ると
ちょうど俳優の変わり目と言える作品で、山村聡、緒形拳、成田三樹夫の世代の俳優と、今の重鎮の岸辺一徳、竹中直人、益岡徹、小林稔侍が見られます。

吉原遊郭を題材にしてるので、画面の色彩が豊かで、若い頃は女優の裸体が見たくての興味でしたが、今見てると実に華やかな画面で、女優の裸体もアートに見える作りに感じます。

このレビューはネタバレを含みます


地獄めぐりへの耽美の視線


昨今のせわしない映画にはない、豊かな映像と、人間の業の深さを堪能できる、今後も廃れる事はないであろう傑作。

見事な遊郭のセット、明治後期の和洋折衷デザインの美しさ。

豪華な役者陣に、たっぷりと演技の「場と時間」を与えるカメラワーク。

アクション満載、冒頭から、検梅をひやかす子供達に追われる女郎が、電柱に抱きつく太ももが露な姿。
女同士が肌を曝け出しての大喧嘩。
広い三階建ての遊郭を裾をひるがえして駆け回る。
川に飛び込む捕り物。
燃え上がる女郎屋から半裸で飛び降りるスタント。

部屋の外から、三味線、太鼓、笛、唄声が被せられ、欲深い人間の哀しい営みに、滑稽さが足される。

めぐる季節の緻密な表現。
雨、雪、風。桜、紫陽花。汗ばんだ肌、白い息。

吉原の女を象徴する血の色、赤が浮き立つ。
布団、襦袢、金魚、ほおずき。
女同士が絡む布団と襦袢の赤。
堕胎の苦しみが川面に広がる赤。
気狂いの淫乱と化し血を吐く布団部屋の赤は、地獄の底のよう。

胸、乳首、太もも、足の指、唇、舌、うなじ、みだれ髪。
クロースアップにもロングにも、女の肌への執拗で耽美的な眼差しがある。
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久乃、若汐、紫(名取裕子)。
主人公であり、吉原の地獄の案内役でもある。
無垢な少女が、地獄めぐりの末、紫太夫を襲名、御職になる。
花魁道中という一瞬の煌めき、血と涙の徒花を咲かせる夢を見るようになる。
「惨めな女になりたくないんだ。嘘だっていい、この嘘の世界で一番大きな花咲かせたいんですよ」
桜の舞う中、花魁道中の夢を叶えた後、資産家の身請けを受け入れ、地獄に別れを告げようとした時に、吉原炎上、忘れられぬ男の元へ駆け戻り、吉原の最期を見届けることになる。

九重(二宮さよ子)、御職。
明治四十年、春。
吉原の地獄をよく心得ている。
客と寝れぬ若汐に指南、無自覚の同性愛嗜好、若汐の女の才覚を見抜く。
馴染みの男の学費を出してやるが、婚約を言いだされると鼻で笑い、泣く。
遊女に残された道を知る、ひとり去っていく。
「花が散ればお前は用無し、今さら見栄も花道もいらないよ」

吉里(藤真利子)、二枚目から御職。
明治四十一年、夏。
馴染みの男との恋に賭けるが裏切られ、別の客を心中に誘う。
「郭の中はみんな戯れ言、嘘だらけ」
芝居だったはずが、吉原の人間が女郎の上前を撥ねているだけでなく、自殺という悲劇まで期待していることに気付き、自殺。
若汐は墓前に「弱虫」と吐き捨てる。

小花(西川峰子)、三枚目から御職。
明治四十二年、秋。
生まれついての悲痛な人生、その哀しみを誤摩化す、自尊心からの虚言癖。
男に求められる事、御職という自尊心も、梅毒のため奪われ発狂「ここ噛んでー!」
淫乱の妖怪となり病死。
紫「あんた、一体今までどんな目に遭って来たのよ…」

菊川(かたせ梨乃)
明治四十三年、冬。
嫌な客に小便をひっかける、遊女になりきれない要領の悪い女。
品川に住み替えさせられるが、大工の棟梁と結婚。
しかし若い女に寝取られ、吉原の女郎長屋に戻る。
元亭主の病気、浮気相手の女になけなしの金を渡す。
未熟な女郎の恋の世話を焼く。
「諦めなされ」と唄いながらも、人間に希望を諦める事が出来ない女。
百年に一度の花魁と呼ばれるようになった紫と決別。
「あんたは吉原の嘘で練り上げられたお人形さ」
「あんたに淫売の本当の本当なんてわかってたまるか」

古島(根津甚八)
御曹司でありながら救世軍。
そのくせ、遊郭で散財、しかし女は抱かない。
アンビバレントな男、清濁併せ呑めず、無垢さ純粋さを求める、坊や。
「僕は所詮、空想しかできない男だ。事業も正義も、恋まで、何もかも空想だけなんだ」
最後には、まだ幼い無垢な女郎と心中。
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『吉原炎上』に貫かれている視線は、堕ちていく事への耽美、憧憬。
虚飾と知りつつも、一瞬であれ美しく輝く事が、ままならぬ人生のひとつの救いのあり方でもある。
それは、大昔から続く売春の実相。
女性が自ら選択して体を売るようにもなった昨今。
一見変わったようにも見えるが、心の一番奥底にある欲望は、もしかしたら変わらないのかもしれない。
悲哀も相まって儚くも美しい、そんな感じだった。
当たり前のことで語弊があるかもしれないけれど恋愛に関しての女性の気持ちなどは時代や職業など関係なく現代にも通じるものがあるんだなと思った。
悪い男に尽くしちゃう気持ちわかるしこの人ならきっと大丈夫!と思ってもだめなやつはなにしてもだめなんだよね、、
若汐が本当にだんだん綺麗になっていったし自信を持って最初はびくびくなよなよしていたけどしっかりと芯のある女性に成長していったところも見所だった。
Hero

Heroの感想・評価

4.8
僕の中で吉原といえば廓詞ありんすであり、南方先生であり、ペニシリンであったのだが、それが強制削除されるほどの完璧な出来。せっくすとはこうゆうものだよと教えてくれる先輩花魁によるレズ講義に始まり、惚れた男に貢ぎに貢ぎ用が済んだらさようならされた花魁の自決、梅毒に犯され血を吐きながら暴れ狂う幻想に生きた女のハイスピードダンシング、稼いだあぶく銭を泣きながら搔き集めるせっくすしんぼるかたせ梨乃の姿に泣いた後は、吉原炎上とともに炎上する根津甚八にまたまた涙。本当に心の底から惚れた女は抱けないのよって、もう見所しかない。そんな地獄の女の園を舞台装置を駆使した身体性重視の演劇的な長回しで捉えるかと思えば、ここぞここぞの超映画的トラックアップカットバックやハイスピードってやめろ気絶する。台詞や音楽までいいってもう絶命。

男が通う極楽道、女が売られる地獄道
嫉妬や妬みに埋もれるな、嘘を塗れば怖くない
同情するなら抱いてくれ、そんでいっぱい金をくれ
一晩いくらのこの身体すっきり抱いてくださいな
生きてるうちに観なさいよ。
ロー

ローの感想・評価

3.3
借金のカタに吉原に売られた女性が、次第にそこでの生き方に誇りを持つようになっていく話。
客引きの言葉遣いが上手い!女優の底力みたいのを見れた作品だった。
主演以外の花魁たちもみな個性があってかっこいい。特に吉里が好き、唄上手。最期は悲しかった。
おかみさんたちも好き、客の相手とか上手。そしてなによりわかさんのかっこよさ。若汐を抱かないなんて、深い。
女郎たちの悲しさが滲むような映画だった。
家族の借金を身で返すために吉原に売られた久乃の成長ぶりが恐ろしくもあり、美しい。

美貌を求める現代のモデルの世界を描いた『ヘルタースケルター』や、頂点に立つために精神を蝕まれながらも舞台に立つバレリーナの『ブラックスワン』などのように、この映画も女性の世界を描いたドロドロした映画なのかと思っていた。
しかし、自らのために周りを蹴落とすような花魁はおらず、家族や愛する人のために、希望を持ったりそれを失ったり諦めたりしながら日々暮らし、それを共有しあっていて、華やかな衣装の裏の独特の物悲しい雰囲気があった。
事情がなければみんなきっと普通の女の子だったんだろうな、と思い巡らずにはいられなかっ。吉原を失った彼女たちはどこへ行くのだろう。
keko

kekoの感想・評価

3.5
これに出てる女優さんみなさん体を張った演技で、色んな意味でスゴイ映画でした。観終わったあと、同じ女性として複雑な気持ちになります。
演者、音、色、カメラワーク、メイク、道具、照明、自分が生まれてすぐのこの時代の映画として全ての技術に拍手。BGMでいつでも観れる。
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