H4Y4T0

告発のH4Y4T0のレビュー・感想・評価

告発(1995年製作の映画)
4.0
フォロワーさんにお勧めして頂いた作品。
アメリカはサンフランシスコ湾に浮かぶ「アルカトラズ連邦刑務所」で行われていた虐待問題や、職員の怠慢さ・杜撰な管理状況を“告発”し、閉鎖に追い込むまでに至る経緯を描いた実話映画。

早くに両親を亡くし、極貧家庭に育った兄妹。その兄ヘンリー・ヤングの物語。
僅か5ドルの窃盗容疑で逮捕されたヘンリーは幼い妹を残しアルカトラズに収監され、職員達による過剰な暴力と虐待によって心身共にズタボロになるまで傷めつけられる。
失意状態に陥ったヘンリーの精神状態が、徐々に崩壊していくシーンは畏怖するものがあった。
『スリーパーズ』で鬼看守を演じてた頃とは真逆の立場にあたるが、どちらをやってもケヴィン・ベーコンはケヴィン・ベーコンのままだった。安定感ある演技力に感服。

本来刑務所があるべき職務を果たさずに、新たな“悲劇”を生み出すという由々しき事態に立ち向かう新人弁護士ジェームズ・スタンフィルの葛藤やヘンリーを救おうと奮闘する姿に強く心を打たれた。
また妹ロゼッタとの面会シーンや有罪を嘆願するシーンにやり場のない悲しみを感じた。

本作だけに限らず社会派映画の大半は、フィクション・ノンフィクションに関わらず心に重くのしかかる重圧に耐えなければ真意に触れることはできないと改めて実感。
否定も肯定もする気はないが、強いて言わせてもらうとするならば、同じ過ちを二度と繰り返してはならないということ。
偽善者だと思われたって構わない。殺人の凶器として利用されるよりは断然マシ。
皮肉なことに、腐敗した世の中を曝した作品ほど、“より良い社会づくり”への教訓として活かされているのかもしれない。
H4Y4T0

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