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アクシデントのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

アクシデント(2009年製作の映画)
4.3
車の渋滞の中、一人の男がビルの上から砕け散った大量のガラスの破片を浴びて死んだ。血の海に転がる死体の正体は、黒社会の大物ボス。警察はそれを事故による死亡と発表する。だが、それはブレイン(ルイス・クー)、ふとっちょ(ラム・シュー)、女(ミシェル・イエ)、そしておやじ(フォン・ツイファン)たち4人の仕業、すなわち殺しだった。彼らは、緻密な計算と周到なトリックにより偶然の事故に見せかけて標的を殺害する闇の仕事人なのだ。彼らの次の仕事は、質屋の息子からの殺害依頼。標的は、質屋の実質の経営を握る父親。ある雨の夜、4人は鮮やかな手際で標的を殺害。完璧な“偶然”を装った殺しを遂行した……はずだった。突如、全く予期せぬ別の“偶然”により彼らの計画は狂い、仲間の一人が死んでしまう。もしかしてこれは“偶然”ではなく、何者かが仕組んだ殺しで、狙われていたのは彼ら4人なのではないか。家に戻ったブレインは部屋が何者かによって荒らされていることで、その疑念が大きく渦巻いていく。そしてその黒幕を暴くために雨の夜の仕事の依頼人と接触したフォン(リッチー・レン)を見張るのだが、なかなかしっぽを出さない。ホーは、フォンを追う中で、一緒に仕事をした信頼し合ったはずの仲間にも疑惑の目を向け、常軌を逸していく。その中で、地上を覆う日食が、思いがけない悲劇を生む。
「ファイル・デスティネーション」は、偶発する原因が積み重なり死をもたらす恐怖を描くサスペンスホラーだが、この映画に登場する殺し屋は偶発する原因を演出し事故に見せかけて標的を殺すという手口を使うのが、ユニーク。
殺しの仕事の後の事故によって仲間の一人が死んだことから、殺し屋のリーダーのブレインは殺しの依頼人に接触していたフォンを尾行している中で、殺し屋の仲間にさえ疑わしい部分を見つけ疑心暗鬼に陥り常軌を逸していく展開がサイコサスペンス的で、見ている側もブレインと同じく疑心暗鬼に陥る語り口が巧み。
監督ソイチェンは、「ブレインは統合失調症的な人物」と語っているように、偶発することを関連しているように思い込まされるのが現代的でリアルだからこそ、クライマックスに明かされる真相が衝撃的でリアルなサスペンス映画。
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