何をしたいわけでもなく、何をするわけでもなく、結局は歌を口ずさみながらフラフラと歩くだけだ。有産階級の子女が抱えがちな空虚さを妙なリアリティを持ってえがいている。
脈略もなく行き当たりばったりのこの映画は、そのリアリティを抱えながらも、時に喜劇のような様相を呈する。特に人質交渉から気球での逃亡に至る一連のシーンはスラップスティックコメディのようだった。
他にも鉄道に乗り込むシーンや頭痛を克服したのちに「できた」と呟くシーン、滅多切りにしたあとに迫真の「やめろぉ!死んでしまう。。」と急に庇い出すシーンが面白く好きだった。しかしやはりなんといってもでんぐり返しが印象的だ。