宵待草の作品情報・感想・評価

「宵待草」に投稿された感想・評価

神代のベスト。
アメリカンニューシネマの傑作に相当する。男が2人女が1人の逃避行ロードムービーてのはいつの時代も美しくて道だけが続く。身代金の要求でドンパチした最中に映画撮影隊と出くわして、車から気球に乗ったかと思いきや、気球が壊れて列車と鉢合わせるって凄すぎないか?こんな滅茶苦茶が出来ている喜びがパナい。
ちょっと真面目すぎると思った。真面目であると、大島渚に見劣りする
ryosuke

ryosukeの感想・評価

4.5
本作で神代は6本目だったが、神代らしいデタラメさが爆発しつつも一定の筋書きはあり、単純な画やアイデアの強力さも抜群で今のところは神代ベスト。
「映画は所詮遊びだ。悪い夢かもしれないがだからこそ面白い。」って本作そのものを表すセリフじゃないだろうか。
高橋洋子は「アフリカの光」では港町の芋っぽい娘だったが、本作ではちゃんと令嬢に見える。役者って凄いね。
初っ端から、神代のダイナミックでエネルギッシュな移動撮影長回しは、ポルノよりも活劇の方がいいんじゃないかと思えるほどの躍動感で惹きつける。
主人公が謎の頭痛で七転八倒する姿も素直に面白い。作り手であるロマンポルノ出身の神代が、主人公の設定のせいで得意の濡れ場を封じられ苦しんでいるようなメタ的な面白さすらある。主人公本人の行為じゃなければ大丈夫なのか、ついに始まったなと思えば、近くにいるだけでダメなことが発覚。
草むらから出てきた馬を借りて自転車を追っかけるナンセンスシーンと、唐突な首吊り死体の登場に至って、おっけーここから異世界ねとテンションが上がる。その死体との添い寝、人力車ぐるぐるによる令嬢誘拐とひたすらアイデアが強い。
間抜けな効果音と細野晴臣の気の抜けた音楽に彩られたダラダラしたチャンバラが素敵。とりあえず爆発もする。この辺りからもう一段ギアが変わって、加速度的にデタラメになっていく。
とにかく空に舞い上がりたいというだけで気球が登場し、こちらのテンションも急上昇。歌詞が共産党宣言の書き出しの歌が流れる(なんじゃそりゃ)んだけど、マジでこういう歌があるの?
気球は即墜落し、平田の剣に次々に串刺しになる部下。負傷したリーダー格の男の背後にある、落下した気球の謎の切なさ。
憲兵コスプレによる銀行強盗、天皇陛下への万歳三唱も意味不明過ぎて最高。豪華な山狩りの画も美しい。どうも感想を書いていても良い場面の列挙になってしまうな。魅力的な断片の詰め合わせが最後まで求心力を持つタイプの作品。いや本当はラスト付近はちょっとだけダレるがご愛敬。
破茶滅茶な出来事のどれがイニシエーションになったのやら、主人公が悩まされていた症状はラスト間際に失われている。反社会的な主人公の性的不能が解消された直後に死が訪れるのはニューシネマの「俺たちに明日はない」と同様だが、そういう型があるのかな。フラストレーションの一瞬の解消が呆気ない死にしか繋がらないことが、無力な個人の虚しさを強調するのだろうか。
「赤線玉の井」でもそうだったが、意地でもラストは海なのね。
高橋洋子によって延々と連呼される「どうでもいいじゃない」が耳に残る。どこか切ない決着を見せる本作だが、しかしやはりどうでもいい最高の映画に仕上がっていて、そうだよな、どうでもいいよなと元気が出る。自分も現実世界ででんぐり返ししてやろうかと思える傑作だった。
TaiRa

TaiRaの感想・評価

5.0
こんなにちゃんと和製ニューシネマやってたんだ。姫田真佐久の撮影が死ぬほど美しい。

大正時代のアナーキストたちはニューシネマと相性良いな。警官の銃奪う為に交番襲撃して返り討ちにあう横移動ワンカットの楽しさ。逃げ込んだ電車から当り前の様に飛び降りる流れとか、フラフラと無軌道な奴らなので次のアクションが予測しにくくて面白い。華族の令嬢と主人公が出会う瞬間の意味不明さとか。え、馬乗って追いかけんの?って。馬上のキスカッコよい。主人公がセックスしようとすると頭が割れる様に痛くなるの孫悟空みたい。潜在的な禁欲性、同性愛やら不能やら、純愛だけは許されるとか。ホモソーシャルな関係性もニューシネマ譲り。夏八木勲がべらぼうにカッコいい。令嬢誘拐から身代金受け渡し場での大乱闘と3人だけで車盗んで持ち逃げの流れワクワクしまくり。札束と見せかけた新聞紙、車からバラまく光景の美しさ。映画撮影隊に合流し、車を貸し、追手に見つかり、気球に乗って逃げる横移動ワンカットも最高過ぎた。この辺はフランス映画みたいなデタラメさがあって好き。気球に乗ってヘラヘラ笑いながら「うわぁ〜落っこちちゃう〜」とか言ってるの。気球落ちた地点で決闘に入るまでの望遠ロングも好き。気球倒れて来ちゃうドキュメント性。海まで逃げると、もう遊びが終わった様にダラダラとする感じも凄い。終わりを引き伸ばし続ける。でんぐり返しの意味とか全くないけど神代の遊びを映して映画をデザインするのめっちゃカッコいい。音楽が細野晴臣で凄え牧歌的な感じするのもニューシネマだなぁって。
shikibu

shikibuの感想・評価

4.2
最高。夕焼けの汽車が走るカットの美しさ。
しのの身代金受け渡しのいざこざのあと、国彦と玄二、しのの3名がその場から来るまで逃げ去り、偽札をばら撒くカットの解放感。そこから流れるように映画の撮影現場に向かい、さらには気球まで出てくると。とにかく展開の奇想天外さが楽しい。カメラカーと国彦たちの車が横移動ショットがたまらない。
男2女1映画にハズレなし。でんぐり返しの自由さ。
kkcckkcc

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4.4
とてつもねえ寂しさ
今村昌平のネガって感じがした。四畳半襖の裏張りも併せて見て、
harunoma

harunomaの感想・評価

4.4
ヨハンヨハンソンを聴いていたら立ち止まり帰りたくなった。瓦礫が道に積まれる夜の微々たる東京の小さな被災、台風。
ヨハンソンの音楽にあらかじめ混ざり込んでくる避難警報の声が、もはや雨に濡れた街路の闇に、それが外から来るのか此処から来るのか判別すらできない。
畢竟、帰る場所もなく数年ぶりにヴェーラへ
設計した北山恒はかつて、東京や神奈川の入り乱れた無計の景色を見て「いくじなしの風景」と言ったが、キノハウスなる張りぼての小屋は立地も、かつての桜丘町とは何か消え去っていた。闇がノイズが、埋もれる身体に、宇宙船や洞窟の気配が坂道の途中、坂を上るあの感触を。それでもコンクリートの館に35mmは、ときにふいに、なんとはなしに上映はされる。日本の教会のミサと一体何が違うというのだ。内省とノイズをくれ。比べるべくもないけど『もどり川』の方が好きかな

バカみたいに人間がおもしろい。相米、黒沢、青山まで続いていたこの感触を懐かしく思う。仲間だった追手のおっさんが終始笑顔で笑ってしまうほどに粋な大人たちアナーキストたちの壮大なピクニックがいきいきと繰り広げられる。幼稚な欲望はきらめき、死も愛も、身体も金のかみきれも目の前を通り過ぎる。風とともにあらゆる人はまざり合い愛し合い悲しみを伝える。
あらゆる場所にあらゆる歌がある、船頭小唄。あるときには歌うこと見つめること触れることだけでコミュニケーションの交換はなされる。アフレコバンザイ。横移動の、手持ちの原初的な楽天性が息をしている。細野晴臣の音楽もあり、冒頭、短刀を持って交番に襲撃しに行き、憲兵に追いかけられ、ワンカットで路面電車に飛び乗る有様も、おとこたちのじゃれあいの幸福感しかなく、遊びの時間は続く。
気球、機関車、馬、自動車。七転八倒するあり方も、でんぐり返り、「いいじゃない、親なんてどうでもいいじゃない」の少女の反復のつぶやきも泣けるが、気球の後のシーン、かつての仲間を斬った男、歩き出す彼の背に寄っ掛かり、宙に浮いたまま支えられる高橋洋子、彼女の身体のおもしろさは忘れがたい。これはなんなのか。男のおんぶではあるが、足はもう一人の男に支えられている姿勢。女の身体を、歩いていく男に思いっきり、あずけること、不安定に自力の支点なく少し浮いている体 → 「もどり川」の病院へ荷車で妻を運ぶとき、ショーケンに身体をあずける女 → 「濡れた唇」おんぶしての2人組×2の競争でも、そんな体があった。あの不安定な、後ろからもう一人が何かが支える、おぶられる。むしろ相手におぶり被さる女。慰めでも、驚きでも、愛でもなく、男の上に自分の体を重ねる、体重を乗っける。なぜだろう。これなのだ。映画が所詮心理なるものを体で表現するというのなら、ドライヤーではなくあり得るのなら、それは神代のこうした瞬間だ。重要な愛のじゃれない。睦言、こと、ことを始めること。どこまで行っても零度のような大自然ばかりだ。成層圏の映画。エリ・エリ・レマ・サバクタニ。断絶。かつてそんな映画があった。日本春歌考。どこまでも意味に囚われることのない人の身体。それを人は、旅と呼ぶ。自然の中の重要なツーショットは望遠で撮られ、ズームアウトする。こんな風景だと。男女、3人の逃避行は成層圏の映画を生成しながら、山狩りの美しい夜の松明が遊びではない現実を海へと切り返し、海鳥が飛び立つ如く哀しみを纏い始める。しかしどうだろう。終わりなき旅の終わりは悲しいが、吹きっさらしの小屋に波が立ち、土を一緒に被り抱きしめ合うことはできる。線路、砂浜、夕陽の崖の土の上で、少女のでんぐり返りは永遠の歌のように、彼女の体は大地を動かしている。ふいに口にされる「満洲」という地。ああ70年代に満洲?いやこれは大正の設定だったと思い直し、それにしても、『俠骨一代』の船の上、満洲へ向かう藤純子(牛乳壜一気飲み!)あるいは『東京暮色』のラスト仏壇の前で中国語で何か呟く笠智衆を思い出す。
でんぐり返り、そう必要なのはでんぐり返りだ。天地を反転させ、あたまからお尻、そしてまた上半身の暖かな顔がこうして現れる。
円山町をでんぐり返りで家路についたのは言うまでもない。ああわたしはあなたのでんぐり返りが見たい、いますぐに 歌がきこえる

草々不一
GOaLD

GOaLDの感想・評価

3.5
@シネマヴェーラ渋谷 蘇る神代辰巳 191018。全くどうやって撮ってるのだろうというショットがてんこ盛りでガッツの塊のようだ。映画は度胸といわんばかり。歌は心地よく悪夢的でもある。これはもうひとつのモスラ対ゴジラだろうか。
後半は完全に高橋洋子と夏八木勲の映画。「親なんかいいじゃない……いいじゃない……」が慰めの言葉とわかった瞬間は泣きそうになった。憲兵の格好したところとかラストのでんぐり返しとか、可愛すぎる高橋

気球のシーンとその後は完全に『アフリカの光』の先駆けなノリでもう最高。強盗シーンの「三分間万歳」と金渡されて万歳するじいさんに声出して笑った。山狩りの無数の松明は超怖い!

「♪やれありがたやなむあみだ~」が個人的にツボ
浮き草

浮き草の感想・評価

4.5
撮影現場との遭遇、キートン。「映画なんて作り物さ、でもだから面白いのさ」みたいな台詞をちらっと挟んできた後に、追われる自分達が乗ってた車が劇中の撮影現場で使われ追手共々現場に混入しそれを追うカメラ達をカメラが追うという映画的なシーンが来る愉快さ。気球の使い方が見事。気球の気球としての美しさを筋と離れたところで捉え、降りた後にしぼんで落ちてくるところをみんなで逃げる。一瞬くらっとする。

なにさ、おっちょこちょい!

これから3分間万歳をする。

親なんていいじゃない。

好きな箇所がたくさん。

大学生の自主制作映画的大傑作。
サラリーマン化してない人が撮るものに滲み出る豊かさか。神代と長谷川と細野がそれぞれ好きなことをやってる感じ。多幸感。
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