よさの蕪村

トゥルーマン・ショーのよさの蕪村のレビュー・感想・評価

トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)
3.8
幸せとは何か。

自分の見ている世界は現実なのか。自分の意識と身体はリンクしているのか。自分の意識は本当に自分だけの物で、誰かに漏れていないのか。

20年以上前に「生まれた瞬間からそれと気付かず人生を生中継されている男」というトンデモ設定で映画化しているのですから、この疑問自体は昔から人類共通の疑問なのかもしれないと思った。

職業、趣味、友人、妻、食べる物に至るまで他者に設計された完璧な人生。
トゥルーマンのマネキンのような完璧な笑顔がそれを象徴していて、ハマり役だなと思った。
最後青空模様の階段を登りスタジオの扉から出ていくシーンは、絵画のようで美しく、彼の戸惑いや不安、希望を感じる繊細な表情は、自由への覚悟を表すようで胸が震えた。

選択できる自由は確かに必要。
ただよく思うんですがね、選択肢がどこまでも増殖していく現代では幸せと感じること自体難しいのではと。
案外知らない、気付かないことが幸せへの近道なのかもしれません。
よさの蕪村

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