カロン

萌の朱雀のカロンのレビュー・感想・評価

萌の朱雀(1997年製作の映画)
3.9
普遍的なものを作品の中に見つけたときに、いいな、と思う気がするのだけど。ただ普遍的なだけでも、いいな、と思わないか、と最近思う。「普遍」に内包される異質さ、異質さに内包される普遍性、それらのギャップを楽しんでいるのかもしれない。この作品に限った感想ではないが、山奥の集落(自分にとっては異質)と家族(自分にとっては普遍的)とかの関係性を考えていて思い当たった。

さて。もがりの森が再生と救いを積極的に描いていたのに比べて、どちらかというと喪失や離散、没落の印象を強く受けた。しかしその没落は、決して絶望的な不幸というわけではないのだろう。村人たちをフィルムに収めたショットは最高。
もがりの森のいくつかのシーンでハッとなる体験をしてからこの作品も観なければと思っていたが、ハッとなるシーンはなかった。かと言ってつまらなくはなかった。美しさ、とかよりは、繊細なものを掬い取ろうとした、情緒的な映画なのかな。
集落の中の一家族にスポットライトを当てているので観やすいのだが、関係性が最初分かりにくかった。まあ状況説明的な要素とトレードオフな気もするのでしょうがないかも。そして自然や水の美しさ、音はずっと変わらない。自分が、環境音が好きなのかもしれない、と少し思った。

有名な人の撮影らしい。カメラワークがすごいのはなんとなく分かるのだが、どうすごいのかは知識不足か全くわからん。
尾野真千子かわいい。中学生くらい?
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