しちみ

星になった少年 Shining Boy & Little Randyのしちみのレビュー・感想・評価

4.6

【再鑑賞・再レビュー】

好きな映画はたくさんあるのですが順位を付けたりするのが苦手でふんわりとした分け方しかしないのですが、この作品は個人的に大大大好きで必ず頭に浮かぶ映画です。

一番最初に見たのは小学生の時でした。
その時は何も考えず、ただ放送されていたから見ていただけなのですが物心ついてから改めて見るとやっぱり泣きますね〜( ; ; )

実話が元になっているので脚本どうのこうのという話ではありませんが、この映画を作った人たちがみんなテツに愛を持って作ってくれたように感じます。

家で動物プロダクションを経営しているテツは動物と大の仲良し。たくさんの動物と兄弟に囲まれているものの経営は厳しく、母は仕事のことで頭がいっぱい。そんな時に母がテレビのレギュラーが貰える!と母自身が好きだったゾウを連れてくる。

学校では動物臭いとイジメを受け、家でも親と上手くコミュニケーションが取れないテツ。そんな中、家にやってきたゾウにテツは心を奪われる。

『 今、喋った! 』

ゾウの声が聞こえる!と言うテツの話には一切耳を傾けなかった母だが、テツはそんなことお構いなしにどんどんゾウの世界に足を踏み入れていく。そして…ついにテツはゾウ使いになることを決め、単身タイへと渡る。タイでも慣れない文化や上手くゾウと心が通じわないことから他のゾウ使いを目指す生徒たちにバカにされるが、諦めずに鍛錬を積み一年半後めでたくゾウ使いとして日本に帰国する。
そして日本に帰国したテツは……。

原作を読んではいないので全部が全部本当なのかは分かりませんが、綺麗に描き過ぎていないところが個人的には好きです。小さい頃初めて見たときは酷い母親だな、という記憶しか残ってなかったのですが、それは改めて見てもあまり変わりません(笑)

親になったことがないので親の気持ちはわかりませんが、ゾウ使いを目指すテツのことを『どんどん普通じゃなくなっていく』『イジメられるのが嫌で逃げたくてタイに行きたいんでしょ!』と言ってのけるのは見ていても嫌だなぁ、と思います。

ですが、それとは対照的にこの映画はとてもよくテツのことを描いていると思います。学校でのイジメ、タイでの苦労などポイントを当てようと思えば当てられたところには一切当てていません。それはテツ本人がまさにそうだったからなのでしょう。

彼にとっていくら動物臭いとイジメられようとタイでみんなからバカにされようとゾウがいれば良くて、ゾウと心を通わせるのが彼の人生において一番クローズアップすべきポイントだったのでしょう。それを上手く描いていてとても良かったです。

とても暖かい気持ちになる大好きな映画です。それはきっとテツ自身が愛に溢れた人間で、それを真摯に受け止め映画を製作したからだと思います。たまーに、ふと思い出して見たくなる大事な作品です。

個人的にラストシーンが暖かくて切なくて大好きです。
しちみ

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