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彼岸花のmaiのレビュー・感想・評価

彼岸花(1958年製作の映画)
4.2
めちゃくちゃ好きな作品でした!

いまでは亭主関白な父親・夫って嫌われ者の印象ですけど、そんな昭和風情前回のお父さんのことを嫌いになれず、むしろ好きだなと思ってしまうから不思議です。
自分の敷いたレールを歩かせたいっていうのは子どもからしたら親のエゴでしかなくってうっとうしいだけなんですけど、それを父親視点で描かれると、愛情をうまく表せない親の不器用さが垣間見えて愛おしさが増してくるんです。
自分が見繕った相手と粛々と結婚を進めてほしい…子ども幸せを考えるからこその押し付け。そういう思いを少しでも言葉の端に忍ばせることが出来れば、きっと娘と関係がこじれてしまうこともないんだろうけれど、それを表す言葉を出すこともできないし、その子どもを考えるあまりの度が過ぎる行動の真意を知っているのは母である妻だけなんですね。
父親否定派の快活な妹がさらにその描写に拍車をかける感じも好きでした。
母親・妻って偉大だと思うシーン多数で、静かに見守りつつ、家庭が崩れないようにしっかりと支える良妻賢母的な母親・妻の包容力というか温かさが素敵でした。

そしてこじれたまんまの親子関係は同窓会を通して父親たちの切なさへと繋げられ、そして「子どもの幸せについていくべき」という言葉がまさに真理になってました。
子どもが思う幸せに背中を押すことが親のできることだよと言われてる気がして…親としては不安な気持ちも大きいと思うけれど、そう考えられるところに至れるところが親の愛情を感じさせるなあと思いました。
最後、めちゃ不服装だけれど、周りにほだされて娘との和解へ動いていく感じが最高にいい余韻になっていました。

わたしが親になったときにまた観れたら印象が変わるんだろうなあという作品です。
何回でも観たい!!!!
mai

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