福福吉吉

キング・オブ・コメディの福福吉吉のレビュー・感想・評価

キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)
4.5
◆あらすじ◆
コメディアンとして有名になりたいルパート・パプキンは人気コメディアンのジェリー・ラングフォードに強引に自分を売り込む。ジェリーは挨拶代わりにルパートに芸を見せるよう秘書のキャシーに連絡してくるよう話す。本気にしたルパートは執拗にジェリーを追い始める。

◆感想◆
全てが自分の妄想の中で完結している男の狂気を描いた作品であり、主人公のルパートの全てを自分に良いように解釈する悪魔的なポジティブ思考が強烈に印象に残りました。

ルパート・パプキン(ロバート・デ・ニーロ)は既に34歳で特にコメディアンとして経験を積んでいないにも関わらず、コメディアンとして成功している自分を妄想しており、ある意味「コメディアン」という職業を安易に考えていて、観ていて不快感を覚えるキャラクターでした。彼の性格の怖さは何をするにしても自分の中では誤りを認めないところにあって、妙にリアリティがありました。

そして、ルパートのターゲットにされたジェリー(ジェリー・ルイス)はコメディアンとして看板番組を持つ成功者として描かれており、有名過ぎる故に様々な人々の衆目を集めてしまう危険さが描かれていました。その中でもジェリーを執拗に追い続けてくるマーシャ(サンドラ・バーンハード)の姿はルパートとは異なる怖さがありました。

本作はルパート役のロバート・デ・ニーロの演技全てが見どころとなっており、母親に怒りの表情を見せるものの、それ以外では無邪気な笑顔を絶やさない様子が怖くて、異常なほど見栄っ張りな彼の狂気を存分に感じられました。ジェリーと一回話しただけで親友としてしまうルパートの心理がやば過ぎた。

ラストは妄想とも現実ともとれるものになっていて巧く落としていると思いました。

ロバート・デ・ニーロの凄さが存分に発揮された作品で、面白さと不快感が共存する不思議な作品でした。

鑑賞日:2024年2月7日
鑑賞方法:CS ザ・シネマ
(録画日:2023年3月19日)
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