鉄男

キング・オブ・コメディの鉄男のレビュー・感想・評価

キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)
4.0
社会風刺映画、ストーカー映画、など色々な観方ができる映画だと思った。
自分は、孤独な誇大妄想狂が爆発した承認欲求を満たす映画だと感じた。

社会から誰にも相手にされない男が欲望を満たす話なら、通常シリアスで重苦しい雰囲気になりがちだ。例えばこの映画と同じスコセッシ監督とデニーロが組んだ「タクシードライバー」が正にそうだ。
しかしこの主人公はコメディアン志望という夢がある人物だからか、どんなに周りに相手にされなくても100%ポジティブなのだ。ゆえに映画の作風も重苦しく感じることは無く、むしろ“喜劇”と呼ぶべきとさえ思う。
重要なのは“喜劇”と呼べるのは主人公視点のみであって、作中で起こしたことはどう考えたって狂ってるという事だ。
承認欲求が満たされないから狂った行動や誇大妄想に走るのか、誇大妄想が激しいから承認欲求が満たされないと感じるのか、気になる所だった。

スコセッシ監督、デニーロ繋がりで、「タクシードライバー」の主人公トラヴィスが社会から相手にされない男の「負の狂気」を体現しているなら、この主人公は「正の狂気」を体現してると考えるのは深読みし過ぎか。
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