蒸本整次郎

あげまんの蒸本整次郎のレビュー・感想・評価

あげまん(1990年製作の映画)
4.0
随所に仕掛けられた
赤の差し色の効果に唸る。

鳥居、絨毯、着物、橋。

芸者の派手ながら狭い世界と
銀行を繋ぐのは、共通する赤い色。

狭い世界の描写になりがちなところを
絵の力で巧妙に繋ぎ合わせ
ポップにかつ、陸続きに時で見せたのは
この、色の効果であろうか。

主水の夢の描写も見事だ。
どうしたって目がいくパジャマの縞模様の刷り込みは、夢の直後に即効で意味をなしてくる。

説明しすぎずとも
気づかせるその目配せを味わえるのが
鑑賞者の楽しみだ。