タカナリ

昭和残侠伝のタカナリのレビュー・感想・評価

昭和残侠伝(1965年製作の映画)
3.6
シリーズ第1弾。(ただし、各作品との繋がりはなし。)
敗戦直後の浅草。露店商を営む人々を、新興ヤクザ“新誠組”は高い上納金により苦しめていた。昔から仕切ってきた“神津組”は、新誠組のやり方に我慢出来なくなっていた。

簡単に言うと、神津組と新誠組の対立です。
新誠組の目的は、露店商の人々を屋根のあるマーケットで働かせること。それ自体は良いんですが、そのやり方が最低です。
神津組を裏から邪魔をし、平気に人を騙し、商人が必死で稼いだ金を奪い取ります。露店商をマーケットで働かせようという気は一切ありません。
分かりやすく悪党です。
度重なる嫌がらせ、脅し、殺し、悪びれた様子もない態度に、心底腹が立ちましたね。

神津組なんですが、新誠組に対して何もしません。というか何も出来ません。一部組員が新誠組に乗り込もうとしても組長が止め、平和的に解決しようとします。
神津組は町を、人を想っていて、人情溢れる昔ながらのヤクザなんですよね。ただのチンピラだったら少しこずく程度で終わってたでしょうけど、組丸ごととなると冷静にならないといけません。どうやって新誠組を黙らせるか悩んでる間にも新誠組は次々と問題を起こします。感情任せで動くと新誠組も神津組も潰れます。住人の事を考えると神津組が潰れるわけにはいきません。
この殴りたくても殴りに行けない感じがすごく辛かったです。
暴力じゃなくても、何かしら対策は出来た気もするが…。

終盤まで心が苦しかったですが、最後の最後にやってくれました。
勧善懲悪がハッキリしていたのが良かったです。気持ち良かった。スッキリしました。
というか弱すぎ。真っ向から勝負挑まないあたりそうだとは思ったけど。

昔ながらのヤクザの姿を見れました。
今もこういうヤクザならなぁ。