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欲望の砂漠のmat9215のレビュー・感想・評価

欲望の砂漠(1949年製作の映画)
4.0
主演のバート・ランカスターよりも、クロード・レインズとピーター・ローレの二人が怪優として強烈な印象を残す。エンディングも主演男女優が抱擁してThe Endではなく、その後にレインズとローレの二人が去りゆく船を背景に歩きながら会話するショットをきっちりと入れている。

とことん喰えないいかがわしい紳士を演じるクロード・レインズの芸風は、タランティーノ『イングローリアス・バスターズ』や『ジャンゴ 繋がれざる者』でクリストフ・ヴァルツが継承している。ピーター・ローレは物語の転回点となる要所で狂言回しのように登場する。眼差しと抑揚のない喋り方はフリッツ・ラング『M』と変わらない。

物語のプロットはクリシェばかりだけど、映画として面白い。なにより一つ一つのショットが力強い。会話の切り返しだって、クロースアップショットを繰り返すのでなく、一つ一つのショットに工夫が凝らされている。ふと、成瀬巳喜男を思い出した。
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