mat9215さんの映画レビュー・感想・評価

mat9215

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キートンのセブン・チャンス/キートンの栃麺棒(1925年製作の映画)

4.0

語り継がれるだけのことはある作品と得心した。中盤までの連続求婚というドラマはもったりしている。屋内の場面のカメラは、舞台劇のように観客側からの視点だけ。サイレント時代の映画話法だなどと油断していると、>>続きを読む

サンダーロード(2018年製作の映画)

2.0

やることなすこと裏目に出るズレたおっさんの物語。エンディングまで観る程度には興味が続くけど、残念ながら当方のツボにははまらない。冒頭、葬式場面の長回しは、負の連鎖に陥っていくおっさんのイタさに、イタた>>続きを読む

コンクリート・カウボーイ: 本当の僕は(2020年製作の映画)

2.5

フィラデルフィアという都市の市街地で馬が飼育されており、また、黒人のカウボーイ・コミュニティがあることを初めて知った。そんな特殊な世界における少年の成長物語として興味深く観た。少年は馬に馴染み、コミュ>>続きを読む

ハリエット(2019年製作の映画)

2.0

シンシア・エリヴォの力強い歌声が聞き物。最初の逃亡では不安げな表情を浮かべていた主人公が、奴隷逃亡の支援を繰り返すうちに精悍な顔つきになっていく。黒人奴隷解放の物語であると同時に、女性解放の物語でもあ>>続きを読む

魔女がいっぱい(2020年製作の映画)

2.5

観ている間は面白い。ツルッパゲの魔女の群れも、アン・ハサウェイの振り切った演技も、原色いっぱいの人造的なセットもみんな楽しいし、子供たちにかけられた魔法が解除されないまま終わってしまうのもたいへんブラ>>続きを読む

ウエスト・コースト(2016年製作の映画)

2.0

『スタンド・バイ・ミー』の仲間たち、あるいは『IT』シリーズのルーザーズ・クラブにも似た小僧映画。どちらも原作はスティーブン・キングか。小僧たちが悪態をついたり、下品な話に明け暮れたり、悪さをしでかし>>続きを読む

ノマドランド(2020年製作の映画)

3.5

ロードムービーというジャンルがもつ感傷とか叙情とは無縁の旅映画。ただ、クロエ・ジャオは、前作『ザ・ライダー』の方が刺さった。また、似た題材のケリー・ライカート『ウェンディ・アンド・ルーシー』も痛かった>>続きを読む

ダンシング・トライブ(2018年製作の映画)

2.5

笑いありホロリあり、恋ありダンスありのウェルメイド映画。濃厚な中年女性たちが早口&大声で会話する様子はアルモドバル作品でお馴染み。これがスペインね。カルメン・マチという女優さんはこの手の役柄をたくさん>>続きを読む

エディとコークマン 〜バッドトリップ・イン・パリ〜(2021年製作の映画)

2.0

ブリーフにフェイクファーの筋肉男と人相の悪い鷲鼻男。こんな頭の悪いチンケな犯罪者たちが右往左往するクズ者映画。この下劣な奴らがどんな状況でもポジティブに振る舞うところに好感は持てるけど、残念ながら演出>>続きを読む

西鶴一代女(1952年製作の映画)

3.5

俳優の演技からカメラの動きまでがびしっと決まった長回しショットを観ると、何十回リハをしたのかが気になってしまう。俳優にも撮影にも照明にも大道具にも過酷な撮影だったことだろう。そんな長回しの一方で、ショ>>続きを読む

ショック集団(1963年製作の映画)

4.0

KKKの頭巾をかぶる黒人の姿にガツンとやられる。スパイク・リー『ブラック・クランズマン』など足下にも及ばない。『偉大なるアンバーソン家の人々』や『狩人の夜』を手がけたスタンリー・コルテスが一つ一つのシ>>続きを読む

カミーユ(2019年製作の映画)

2.5

誠実に作られているけど、イマイチ琴線に触れない。黒い人たちの中にいる白人ということでクレール・ドニを思い出す。クレール・ドニの『美しき仕事』や『ホワイト・マテリアル』には、ヒリヒリするような異物感があ>>続きを読む

ジャスト・キッズ(2019年製作の映画)

2.5

親の死を受容していく子供というストーリーは、ミヒャエル・ハース『アマンダと僕』に近い。子供の保護者になるのが少年、あるいは少年に近い青年という設定も同じだ。さらに、ロンゲでデブのマティスと、がっしりし>>続きを読む

残菊物語(1939年製作の映画)

4.5

対象を凝視するカメラは、デジタル撮影による安易な長回しとは違う次元の緊張感を生み出す。対象に近づきすぎない距離を保ち、登場人物たちの感情の高まりを冷徹に伝える。俳優たちの演技とカメラの描写の融合。この>>続きを読む

犯人を逃がすな(1951年製作の映画)

2.0

トレーラーハウスの安ホテルはLAの丘の上にあって、下界を見下す絶景スポット。陽光があふれていて気持ちよい。女スリ、刑事、悪役、新聞売り、等々の脇役は印象的。だが、映画としてはイマイチ盛り上がらない。ハ>>続きを読む

花と嵐とギャング(1961年製作の映画)

2.5

1960年前後の石井輝男の映画では、カメラに向かって歩いてきた人物がカメラを塞ぐと、次のカットは背中を捉え歩き去って行くというツナギが多い。これは岡本喜八も同様。アクションと編集のテンポで見せる。その>>続きを読む

Close Encounters with Vilmos Zsigmond(原題)(2016年製作の映画)

2.0

冒頭、数々の有名作品から ”Director of Photograpy Vilmos Zsigmond"というクレジットを集めたところは圧倒される。個人的にはヴィルモス・ジグモンドというと、1970>>続きを読む

ワーキング・ガールズ(2020年製作の映画)

2.5

柄の悪いバンリューを舞台にして、ギリギリの生活を懸命に生きる人々というと、ダルデンヌ兄弟作品が想起される。彼らのヒリヒリした緊張感とは違うけど、本作もショットの一つ一つが丁寧で気合いが入っている。女た>>続きを読む

フェリチタ!(2020年製作の映画)

3.5

騒音から耳を守るイヤーマフをつけて、いろいろ問題ありげな両親の会話を聞こえないようにする11歳の娘。赤いイヤーマフがよく似合う、この生意気そうな娘の可愛さにイチコロだった。監督の実の娘らしい。映画で使>>続きを読む

地球最後の男(1964年製作の映画)

2.0

ヴィンセント・プライスの気品で引っ張る低予算映画。撮影地はローマで、ヴィンセント・プライス以外のキャストはイタリア人。残念ながら、演出は雑で、低予算を逆手にとった工夫もあまりない。それでも、材木を旋盤>>続きを読む

カツベン!(2019年製作の映画)

2.5

書籍『活動写真弁士』(片岡一郎著、周防正行解説)を入手したタイミングで鑑賞。活動弁士の語り芸は、講談や浪曲に通じる。この語り芸文化のために、日本では発声映画(トーキー)の普及が遅かった。カツベンといえ>>続きを読む

聖なる犯罪者(2019年製作の映画)

3.5

主人公の眼差しに聖性が見えるときもあれば、怪しさが見えるときもある。この振れ幅がいやーな緊張感を醸し出す。それでも、ブレッソン『モラン神父』のジャン=ポール・ベルモンドより神父に見えるかもしれない。こ>>続きを読む

ジュゼップ(2020年製作の映画)

2.5

小僧に昔語りする元憲兵の爺と、陰々滅々としたスペイン人難民収容所の描写だけで終わるのかと思っていたら、唐突に舞台はメキシコに移り、眉毛と脇毛のフリーダ・カーロまで登場。さらに、小僧は成人してニューヨー>>続きを読む

英雄は死なない(2019年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

居心地の悪い苦手な作品だった。男の生まれ変わり話を映画化するためにボスニアを訪れるのはよしとしよう。また、劇中のカメラマンが撮影する映像が、そのまま本作の映像になっている入れ子構造も作劇の工夫ではある>>続きを読む

奥様は妊娠中(2019年製作の映画)

2.5

ジョナタン・コエンのだらしない顔が素晴らしい。妻との約束を破って子作りを進める究極の身勝手夫にふさわしい顔つきだ。妻のマリーナ・フォイスも、浮世離れしたピアノ馬鹿にふさわしいシワい顔をなさっている。シ>>続きを読む

バーニング・ゴースト(2019年製作の映画)

2.0

女が列車の窓際に座っていて、列車が動き出すと窓の外にいた男が見えなくなる。そのまま、女から左方向にパンすると男が対面の座席に座っている。シンプルなマジック。また、多重露光という素朴な手法も映像としては>>続きを読む

暗黒街の復讐(1948年製作の映画)

2.5

バイロン・ハスキンというと、蟻が大量発生する『黒い絨毯』とか、『宇宙戦争』などのSF映画の人として記憶していた。経歴を調べると、長らく特殊効果スタッフを務め、50歳ごろ本格的に監督になり、本作がその一>>続きを読む

堕ちた天使(1945年製作の映画)

2.5

優れた監督はフレームアウトにも細心の注意を払う。アリス・フェイを乗せた警察のクルマをパンで追い、クルマがフレーム・アウトした後もパンを続けるとダナ・アンドリュースを捉える。この間合いが上手い。などとい>>続きを読む

家族の肖像(1974年製作の映画)

2.5

イタリアの巨匠は、晩年にやりたい放題が許されるのだろうか。フェリーニしかり、パゾリーニしかり(死んだのが早かったけど)、そしてこのヴィスコンティ。愛するヘルムート・バーガーの裸体を曝さずにはいられなか>>続きを読む

黒線地帯(1960年製作の映画)

2.0

マネキンの配置された空間が、後年の石井輝男っぽい。天知茂と三原葉子のカップルは、『非情のライセンス』シリーズの天知茂と野川由美子のカップルに匹敵するかな。そういや、大学の時のゼミの先生が、三ツ矢歌子と>>続きを読む

白線秘密地帯(1958年製作の映画)

2.0

ジュールズ・ダッシン『裸の街』に端を発する実録風警察活劇。鈴木英夫『殺人容疑者』は、本家の『裸の街』より面白かった。本作は、宇津井健が主役で体を張り、天知茂が色気を見せ、菅原文太がチンピラで登場する。>>続きを読む

私というパズル(2020年製作の映画)

2.5

力作。ただ、長回しの出産場面に匹敵する場面やショットがなかった。シャイア・ラブーフが演じる夫の振る舞いは、なんだか身につまされる。

ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-(2020年製作の映画)

2.5

エイミー・アダムズはこうしたちょっとヤな役がよく似合う。グレン・クローズが演じるおばあちゃんの気迫に接したら、ヒネかけた小僧も真人間になろうと思うかもね。『ハードコア』や『マグニフィセント・セブン』の>>続きを読む

深夜の歌声(1948年製作の映画)

2.0

フィルム・ノワールというよりはメロドラマ。ウーパールーパー顔のアイダ・ルピノがいい女役だけど、若い時分のセレステ・ホルムが好人物のもうけ役。リチャード・ウィドマークは『死の接吻』より陰湿で怖い。コーネ>>続きを読む

黄線地帯(イエローライン)(1960年製作の映画)

3.5

天知茂の色気、怪しげな盛り場の造形、そしてそこに屯する人物たちの胡散臭さが素晴らしい。外国人娼婦役の人は白人の顔立ちに黒いドーランを塗っている。外国語ネイティブの黒い女性を確保できなかったのか。

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