mat9215さんの映画レビュー・感想・評価

mat9215

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リベンジ(1990年製作の映画)

3.0

前半、ケヴィン・コスナーとマデリーン・ストウの不義密通カップルに老夫のアンソニー・クインがいつ「リベンジ」を企てるかというサスペンスに手に汗を握る。といいたいところだが、カップルのいちゃつきが長くて少>>続きを読む

スパイ・ゲーム(2001年製作の映画)

4.0

ツイードのジャケットにブルーのシャツ。ロバート・レッドフォードの出立ちは、本作と同じくCIA職員を演じた『コンドル』(1975年)そのまま。老境に入ってなお知略を繰り出すレッドフォードと、愛する者のた>>続きを読む

エネミー・オブ・アメリカ(1998年製作の映画)

4.0

暗いスクリーンで観なければ味わえない闇が充実した絵に、目まぐるしい動きと細かいカットつなぎ。トニスコの刻印がいっぱい。主人公のウィル・スミスはドジも踏むけど、いざというときは機転を利かせて、自分に災厄>>続きを読む

アイアンクロー(2023年製作の映画)

4.0

A24が手がけるファミリーものは、やはりA24に相応しく人間関係の歪みに焦点が当てられる。父親の言いつけに、男兄弟たちが一様に「イエッサー」と応える。ハイソ家庭ならいざ知らず、米国中西部の一般家庭を描>>続きを読む

ガンズ・アンド・キラーズ(2023年製作の映画)

3.0

アート映画とか心温まる小品系でこの規模の映画は日本でも公開されるけど、本作のようなアクションものはどれくらい作られているのだろうか。ケイジはこの小規模アクションもので数多くの作品に出まくっていて、ケイ>>続きを読む

遠い太鼓(1951年製作の映画)

3.0

ゲイリー・クーパー大尉が率いる歩兵部隊は、ジョン・フォードの騎兵隊とは趣が違う。砦を華々しく爆破した後は、地面や水面を移動する逃避行に終始する。泥臭くも男臭い。最初にクーパーが登場する場面は何回かのジ>>続きを読む

ザ・ファン(1996年製作の映画)

4.0

デニーロの胡散臭い笑顔が炸裂するサスペンス・ホラー。野球好きのおっさんカジュアル、セールスマンのスーツ、贔屓選手のユニフォーム、審判員のユニフォームといったデニーロのコスプレがストーリーを動かす。

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

2.0

とにかく気持ち悪いものを見せようという中2病的な趣向。自分が中2の頃だったら面白がっていただろう。R18指定という禁を破って見るささやかな背徳感とともに。こうした趣向と映画の面白さとは別物だということ>>続きを読む

ラスト・ボーイスカウト(1991年製作の映画)

4.0

アクション場面のほとんどは不意打ちの一撃でキレ良く片付く。たとえば、ブルース・ウィリスが悪役の邸宅に拉致された後、タバコの火をめぐる小競り合いの末に拳の一撃で相手の息の根を止める展開のキレのよさ。Li>>続きを読む

ビバリーヒルズ・コップ2(1987年製作の映画)

4.0

乾いた気候のカリフォルニアでも、夜の場面の路面は濡れて灯火を反射している。大半の場面は闇とわずかな光のなかで展開される。『ハンガー』では浮ついた感のあった暗い絵へのこだわりが、犯罪活劇ではキレのよいア>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.0

絶え間のない緊張感ばかりが続く3時間。いつものように時間軸を生真面目に操作するノーランは、初めてだという性交描写も生真面目だった。人類の叡智が結晶された爆発を幻視するときの閃光、火炎、暴風、人体損壊な>>続きを読む

クリムゾン・タイド(1995年製作の映画)

4.0

潜水艦映画にハズレなしと言われる。本作の台詞で『眼下の敵』と『深く静かに潜航せよ』に言及があるのはご愛嬌。潜水艦内は暗いだけでなくアクセントとなる光が当たっていて濃密。ジーン・ハックマンとデンゼル・ワ>>続きを読む

ハンガー(1983年製作の映画)

3.0

カトリーヌ・ドヌーヴとデヴィッド・ボウイの浮世離れしたたたずまい。そこに、ぐっと下世話感のあるスーザン・サランドンを配置する妙。愛し合う吸血鬼カップルという物語では、ジム・ジャームッシュが『オンリー・>>続きを読む

マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)

3.0

普通の映画なら数本分くらいの材料が詰め込まれている。結婚生活の開始がさまざまな事件で引き延ばされた末に、やっと成就するに至って強引に終了する。意志をもった女や戦後ドイツ史に関わる寓意が込められた数々の>>続きを読む

国境事件(1949年製作の映画)

4.0

ジョン・アルトンが撮影監督を務めるアンソニー・マンのノワール作品にハズレなし。黒い闇が限りなく深い。メキシコ人の出稼ぎ農民の話としては、30数年後のフライシャー『マジェスティック』もあった。

都会の叫び(1948年製作の映画)

4.0

シオドマクは本当にノワールが上手い。リチャード・コンテの人たらしぶり、病室からの脱出、悪徳弁護士事務所での立ち回り、夜の街を走る自動車内の治療、大女ホープ・エマーソンの不気味なたたずまい。それに、イタ>>続きを読む

愛と激しさをもって(2022年製作の映画)

3.0

誰もいない海岸で中高年の男女が睦み合うオープニング。この後に見舞われる不幸を十分に予感させるほどの幸福感が溢れている。不幸の兆しは、ジュリエット・ビノシュが元カレの姿を見掛けただけで心が乱れるところで>>続きを読む

すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)

3.0

ある一日の三人の女のストーリーが、直接接触することなく紡がれていく。三つのストーリーに共通するのは記憶というテーマだ。ハローワークに通う失業者は知人の記憶に召喚され、ニュータウンを彷徨う。ガス検針員は>>続きを読む

二重結婚者(1953年製作の映画)

4.0

アイダ・ルピノが階段を登って居室に入るまでを捉えるショットがいいなと思ったら、何度か繰り返された。ビジネスに才長けたジョーン・フォンテインと中華料理屋ウェイトレスのアイダ・ルピノは異なった階層にある。>>続きを読む

恋山彦 風雲の巻(1937年製作の映画)

3.0

見せ場が必ず盛り上がらるマキノ演出。とくに多数の人々が入り乱れる群像描写がエネルギッシュ。天守を一階ずつ上っていく(上昇するカメラが天井を横切ってブラックアウトするところでカット繋ぎ)立ち回りも素晴ら>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

3.0

濃密に作り込まれた壮大なVFX、腹に響く重低音、シャラメを初めとするスターたち。上映時間が長いのはこれらをじっくり堪能させるためだろうか。映画としての感興はあまり湧かなかった。

不安は魂を食いつくす/不安と魂(1974年製作の映画)

4.0

辛気臭い顔が切り返されるだけの、無言の会話がこの上なく雄弁に見える。国民社会主義ドイツ労働者党の党員だったという初老の女が、有色人種の男と恋に落ちるときのぎこちないダンスと、その恋を回復するときのダン>>続きを読む

青べか物語(1962年製作の映画)

3.0

冒頭の空撮から始まる、江戸川下流域の広大で真っ平な風景。カメラが地上に降り立つと、そこには野鄙な人々が住まう。後にアメリカの映画会社のテーマパークが築かれたり、高層集合住宅が溢れたりして風景は一変し、>>続きを読む

スペースマン(2024年製作の映画)

3.0

木星探査に一人で向かう宇宙飛行士と、巨大蜘蛛型異星人との会話の応酬。壮大な話のようでいて、コンパクトな夫婦復縁話に帰着する。木星探査が始まった後の光溢れるサイケな(死語)トリップ場面はイマイチ。主人公>>続きを読む

パリは霧にぬれて(1971年製作の映画)

3.0

セーヌ川を下る導入部が素晴らしい。紗のかかった映像で霧に烟るパリが水面から捉えられる。ちょっと三白眼のフェイ・ダナウェイが情緒不安定な主人公を演じてクロースアップ連続の大熱演。また、情緒不安定なダナウ>>続きを読む

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

3.0

お馬鹿テイストとプチグロ描写は、タラランティーノが喜びそうな70〜80年代グラインドハウステイストを狙いすぎかな。ハリウッド製グラインドハウス作品には明るい陽光が溢れているのに対して、徹頭徹尾、薄暗く>>続きを読む

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

2.0

腐れたインテリ小説家が家族のために偽名で作品を書き、それが世評を得てしまうという展開やテイストは、じつはウディ・アレンと同じ路線だ。人種や家族をめぐる面倒くささのネタもアレンっぽい。ただ、本作は映画と>>続きを読む

續・丹下左膳(1953年製作の映画)

3.0

大人数の大立ち回りでは、無数の御用提灯が画面を埋める。南無妙法蓮華経を唱える櫛巻お藤の前で妖刀に心を乱される左膳。別の場面では、左膳が南無妙法蓮華経を唱えながら、同心たちの間を縫って仇を果たすべく主君>>続きを読む

スピリテッド(2022年製作の映画)

3.0

クリスマス・スペシャルのコメディ・ミュージカル。ウィル・フェレルはお笑い顔だけど、人情モノもいい感じ。

ナポレオン(2023年製作の映画)

2.0

大掛かりな戦闘場面や、絵画を再現した活人画のような戴冠式。そんな豪勢な絵作りの一方で、マリー・アントワネットの首ちょんぱとか、大砲から打ち出された大砲玉が押し寄せる市民を八つ裂きにするとか、下品なグロ>>続きを読む

裸の幼年時代(1968年製作の映画)

4.0

主人公の少年、最初の里親一家、児童施設の人々、二番目の里親一家、あるいは里親の老いた母親。匿名性を求められたブレッソンの「モデル」とは違って、本作の登場人物たちは現地の現物として生々しくフィルムに定着>>続きを読む

ノー・ホーム・ムーヴィー(2015年製作の映画)

3.0

観る者を試すかのように、強風が吹き寄せる風景や、車窓から見える荒涼とした風景、あるいは無人の庭や、住居の屋内を長時間見せ続ける。こうした拷問のような長回しの間にある母娘の会話はなんと幸福なことか。娘の>>続きを読む

ふたりだけのロデオ(2022年製作の映画)

3.0

トラックドライバーの親父と9歳の娘が、ロデオ(トラックのレース)を目指して旅を続ける。ロードムービーにつきものの夕陽だとかマジックアワーもばっちり。ロードムービーというジャンルに甘えた叙情が感じられな>>続きを読む

北極星(2022年製作の映画)

3.0

観る者にカメラの存在を意識させないタイプのドキュメンタリー。おそらくは北アフリカ系の姉妹で、姉は18トンクラスの小型船の雇われ船長。妹は赤子を産んでシングルマザーになる。父親は知らず、母親は薬物中毒だ>>続きを読む

ジャヌスとサムの酔っ払い道中(2023年製作の映画)

4.0

フランスの田舎で幼馴染の高校生男女がしでかすドタバタ劇。印象は爽快。
主役二人の風貌と体型が雄弁。細長い男の子と、がっちりした女の子。幼馴染の二人は恋愛には至らず、家族のような信頼感が微笑ましい。舞台
>>続きを読む

緑の香水(2022年製作の映画)

2.0

黒味が締まった映像。活劇が展開されるのは劇場と列車、それに事件の中で惹かれ合う男女とくれば、ヒッチコックばりのサスペンスを期待するところ。

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