しみしょう

マンデラの名もなき看守のしみしょうのネタバレレビュー・内容・結末

マンデラの名もなき看守(2007年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

1968年の南アフリカ、アパルトヘイト(人種隔離政策)が進められていた時代。
幼少期の境遇から黒人の言語・コーサ語を話せるグレゴリーは、反政府体制ANC(アフリカ民族会議)の指導者のひとりであるマンデラから情報を引き出すため、彼の隔離されているロベン島で検閲員を務めることになる。

投票権や不動産権、自由と平等、今の時代には当たり前の権利を求め、奮闘していたマンデラ。
ANCの自由憲章の内容を知り、マンデラの人柄を知り、彼の理解者となるグレゴリー。
一時は"黒人びいき"として差別されるも、世情・世論の移り変わりと共に国際的に必要な存在になり、1990年のマンデラ釈放に大きく尽力するのだった。

"歴史の傍観者"から"歴史の一部"へ。
マンデラが勾留されていた27年間のグレゴリーの歩みは、歴史が変わっていく様そのもので、それ自体がとてもドラマチック。
あまねく黒人は"テロリスト"であり"爆弾"であると疑って止まなかった妻・グロリアの価値観の変遷も、世論の変遷を何よりも表していたように思う。
マンデラの処遇が改善され、21年ぶりに妻との抱擁を許されるシーンは、思わず涙が溢れた。

1994年、初の全体選挙によって大統領就任を果たしたマンデラ。
彼の"名もなき看守"グレゴリーの視点を通して、歴史が変わっていく瞬間に立ち会えたような気分にさせてもらえる作品。
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