やっぱりカルカン

パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンドのやっぱりカルカンのレビュー・感想・評価

3.4
パイレーツ・オブ・カリビアンシリーズの第3作。金曜ロードショー3週連続放送の1作目・2作目に引き続きこちらも初見です。
本作の上映時間は169分なのに対しテレビ放送枠はよる9時〜11時39分(159分)。そこからCMと前作までのおさらい、およそ19分を引いて約140分ですのでだいたい29分ぐらいはカットされていることになります(オープニング、エンディングは考慮していません)

Twitterを見ながら視聴したのですが、中々エグいカットだったようで「話が繋がらない」「大事なシーンがカットされた」などとツイートされている方が複数いらっしゃいました。
ちょっと話は逸れますがTwitterといえば金ロー公式アカウントのツイートで、エリザベス役のキーラ・ナイトレイが3の撮影当時19歳(1の時は17歳)だったと知って度肝を抜かれました…

金曜ロードショーで3作連続視聴してきましたが、やっぱりガチャガチャしていてスッキリしない映画だなぁと思いました。お金がかかってて画が豪華だし俳優さんの演技もいいのですが、せわしない映画だった印象です。
個人的になぜパイレーツ・オブ・カリビアン1〜3が自分に合わなかったのかを考えてみました。

・ご都合主義
死んだと思ったら生きてた、怪しいキャラだと思ったら神だった、主要な登場人物は全員ジャックの知り合い、捕まったと思ったらすぐ脱獄できた、絶体絶命だと思ったらすんなり生還した、手漕ぎの小舟で港から港へ…など何でもあり。ろくに説明もなく都合のいい展開が次々に繰り広げられます。
例えば何かを探していても、敵も味方もいつも苦労せずすぐ見つかるのもよく分かりません。冒険物のようで冒険感がないのはそこかもしれないですね。

・主人公は誰なのか
私はジャック・スパロウが主人公だと思っていたのですが、3を見終わったあとで「これもう誰が主人公か分からんわ」と思いました。パイレーツ・オブ・カリビアンの主人公はエリザベスだよと言われても下手したら信じる人もいるんじゃないか?と思うぐらいエリザベスに華があります。
主人公度はジャック3:ウィル3:エリザベス4の比率だと個人的には思ってます。
ジャックの物語というより、映画の中ではウィルとエリザベスの物語やウィルとウィルの父親の物語、エリザベスとスワン総督・ノリントン提督の物語、デイヴィ・ジョーンズの物語などに比重があってジャックの事はあんまりよくわからないのがモヤモヤする理由のような気がします。
原作がディズニーランドのアトラクション「カリブの海賊」で、別に「ジャック・スパロウ物語」じゃないのでいいんですけど映画としては一本筋が通ってない感じがします。

・詰め込みすぎ
3作目になると登場人物も増えますし、設定もややこしくなってきます。映画が全体的に駆け足でせわしないので、ガチャガチャしていて疲れる・よく分からないと思うのが正直な感想です。
初めてジャックの両親が出てきましたが、あまり多くは語られないのでジャックの経歴やプライベートはまだ謎のままです。
さっきの話とも関連してきますが、ほとんどジャック以外の人によってストーリーの流れが決まっているので仕方ない事かもしれません。表現が正しいかどうか分かりませんが、絶対的主人公が1人居て、やりたい事や明確なテーマが1つしかない映画とは違うということですね。

・仲間割れ
仲間を利用したり陥れたり、仲間を裏切ったりするくだりがあるのですが、自分の中で海賊には「仲間で力を合わせて戦う」イメージがあるので、いつもバラバラなジャック・スパロウ一味の脆さは安心して見ていられない感じがあります。よく言えばハラハラドキドキなのかもしれませんが、私にとっては不安でしかない要素ですね…
相手を信用して、理解しているからこその行動なのかもしれませんが「かわいそう」「仲良くして欲しい」という気持ちが勝って、楽しむことができませんでした。

・1回見ただけでは分からない
伏線や駆け引きが多く、こうだと思ってたら実はこうだった、みたいな超展開が多いです。テレビ放送版はカットがそれなりに多い事もあるので、できたらノーカットで何回か見ないと楽しめないかもしれないなと思いました。

とりあえず1〜3まで見て、嫌いではないけど自分には合わなかった。派手だけど掴みどころのない、不思議な映画だな…という感じです。機会があればまた見たいと思います。