ソラ

A2のソラのレビュー・感想・評価

A2(2001年製作の映画)
4.0
たった20数年前のこととは思えない。
ネットの世界で誹謗中傷が垂れ流されるよりもずっと健全で建設的なんじゃないだろうか?

前作を見たあとは信者たちは見た目も中身も私たちと変わらないように見える人間だった。その感覚が新鮮で、見る目が変わったのは事実だった。ただ、2作目を見ると変わらないように見えることに恐怖も感じた。ここに登場する信者は一度も事件に関して断言しない。きっと事件に関わった人もこの人たちと同じような生活を送っていて、一見フレンドリーだったんじゃないか。つまり人間の何を信頼すればいいのか。善人なんているのか。疑念は生まれる一方だった。

まじかって思ったのは河野義行さんの自宅の場面。被害者に会いに行ったのに被害者から謝罪するのかしないのか、世間的な目を気遣われる信者たち。河野さんは謝罪を求めてる人じゃないからする必要がない、誰々に謝罪した方がいいって、それを本人を前にして言ってしまう無神経さ。この人たちは表面的には優しい感じだけれど、やっぱり通じあえない。忖度できない正直者と見るか、無神経さととるかは見た人の印象で違うかな。反対派が名前を名乗らなかったり事務所の中に入りたくないのは、そりゃ怖いからだろう。それをほんとに気づいてないのか、振りなのか分からないけれど。
結局オウム以前以後で世間はどう変わったのか。それは法律の話だけじゃなくて、麻原被告を信じる人が一定数いて、その末に犯罪まで起こした。それは社会に大きな投げ掛けでもあったはずなのに、答えは出ないままここまで来てしまっているのが怖い。
ソラ

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