サトモリサトル

女の座のサトモリサトルのレビュー・感想・評価

女の座(1962年製作の映画)
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所謂東宝オールスター出演のお正月映画だけど、娯楽作品と言うにはあまりにビターな味わい。
東京オリンピック開幕直前の変わりゆく東京の様子と絡めて、ある一家の緩やかな崩壊を描いている。

テーマや人物設定などから小津の「東京物語」がちらつくけれど、成瀬の描き方はより下世話。
葬式のシーンにそれが最もよく表れている。

夏木陽介のラーメン屋でのシーン、あれはズルい。
司葉子、星由里子の瑞々しい美しさ。
淡路恵子、三橋達也のがめつい夫婦。
中北千枝子ポジションの丹阿弥谷津子もハマってた。
社長シリーズの印象が強い小林桂樹と加東大介もうだつの上がらない亭主役が似合ってた。

そして主演の高峰秀子はやっぱり別格。
纏ってるオーラが段違いだった。
ラスト近くの、笠智衆・杉村春子夫婦と小さな家を見て歩くシーンに少し救われた気持ちになる。

2018,6.1 神保町シアター