王裕

リアル・スティールの王裕のレビュー・感想・評価

リアル・スティール(2011年製作の映画)
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テンションが上がる要素の詰め込まれた作品です。

特に構えず気軽に観れるのですが、観始めると引き込まれて最後まで魅入ってしまいました。

主人公は心底クズに成り果てている状態から物語が始まるのですが、徐々に良い方へ変わっていく……と云う訳ではなく

本来持ち得ている良い面と悪い面があり、物語序盤は悪い面が引き立っており、転落後大事な物をいくつも取り零してしまい、自尊心が地に堕ちた男の卑屈さが上手く描かれていました。

口癖の様に
「いやダメだ」「俺にはできない」と劇中何度も口にしますし
無策な匹夫の勇は持ち合わせていますが、肝心な勝負時には奮起できない。

そんな男の鳴りを潜めた良い面が、物語の進行に合わせ前面に出てきます。
それは期待される時です。

友にさえ「友人としては好きだが、先の見込みの無いヤツ」と酷評され
恋人にも「貴方も私も、もう終わり」と見切りを付けられても
たった一人、期待してくれる人がいるなら男は不屈の英雄に舞い戻る。

この展開に高揚させられました。


主人公にフォーカスを当てて書きましたが、他にも見所は沢山あるので元気を分けて貰いたいなって時にはお薦めの作品です。
王裕

王裕