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ゼイリブのKentaのレビュー・感想・評価

ゼイリブ(1988年製作の映画)
3.4
ジョン・カーペンターが描くエイリアンに支配された世界。
不思議なサングラスをかけると、人間に化けたエイリアンの姿が明らかになるもの。人間の支配思考や格差を風刺する内容となっている。

貧困層が溢れて絶えなくなってしまったアメリカ。定職に就くことも難しい。ネイダもその一人だった。
その後、ネイダは路頭に迷い、工事現場の肉体労働者として一応は雇ってもらえた。そして、フランクとも仲良くなり、生活が厳しい仲間と打ち解けていた。
しかしその夜、キャンプのテレビを観ていると、しばらく何者かに電波ジャックをされてしまう。そこでは、何かを訴えかけるメッセージを放っていた。そして、そこにいた男が入っていった近くの教会がなにやら怪しいことが判明する。
翌日、ネイダはそこに足を踏み込むと、なんの変哲もないサングラスを手に入れる。だが、それは特殊なサングラスだったのだ…。

人間の世界に隠れて暮らしているエイリアンのSF作品。と思いきや、これを通してなにかと社会を皮肉ってる系。
なんとなく劇場でやっており足を運んでみたが、意外と良作だった。
カーペンターの作品自体あまり観ないため、監督のクセや傾向が掴めていなかったが、なんとなくわかった。とりあえず、ただの宇宙人モノの作品ではなく、一捻り加えられている。

貧困層と富裕層。
今作では、失業者となった貧困層こそが本来の人間であり、富裕層がやたらとエイリアンとして描かれていた。なぜ富裕層であるか。それは簡単な話であり、エイリアンがそこを支配してるからである。
ただ、ここのエイリアンは貧困層に攻撃をするわけではない。とにかく無害なのだ。そう、無関心である。現に、世の富裕層が貧困層について関心を示さないのと同様なのである。これをポップにSF作品で描くのだから、訴えるやり方は様々だなと。

謎に長い喧嘩シーン。
これは余談ではあるが、中盤のネイダとフランクの喧嘩が無駄に長い…(笑) どっちか懲りろよと言わんばかりのやり方。お前らガキかよと突っ込んでしまいたくなるほどのしょうもなさ(笑)

最後に、監督らしさの出てる今作は、ブラックユーモアたっぷりで、皮肉に風刺も効いているため、当時を知ってる人からしたらかなり楽しめるかも。エイリアンのビジュアルもかなり好きだった。
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