原作はクローズドサークルミステリーとしての犯人探し、疑心暗鬼に陥る登場人物達の心理ゲーム、ミスリードさせる人物の絶妙な配置、等韻をきちんと踏んだ読み応えある内容なんですが、映画化に当たってはミステリー要素を全て削除してしまったがために、単なるサバイバルゲームになっちゃいましたね。
まぁ、原作の内容を2時間弱に収めるにはシンプルにするしか無かったんでしょうが、中田監督に期待したファンの皆様には芸の無い、当てが外れた内容かと。
登場人物の造形も敢えていじらず、原作を踏襲した方が楽しかったはずなんですが、なぜ全てのキャラを普通にしちゃったんでしょうか。
綾瀬はるか演じる須和名 祥子、片平なぎさ演ずる渕 佐和子なんかは含みを持たしたまんまにして欲しかったなぁー。
逆に”暗鬼館”なんかは原作のイメージ通り、あのロボットなんかも地上を進むか天井に吊られるかの違いだけで、全くいじらなかったのは何故なんでしょうか?
いっそのことゴシックホラーばりの洋館にすれば中田節も炸裂したかもしれません。
またSAWばりのトラップなんかはきちんと見せて欲しかったですしねw
個人的には某登場人物2人のこれまた某場所でのミステリー談義、実は抜群の推理能力を隠していた裏探偵、など原作の楽しい仕掛けを物の見事に切り捨ててしまった中田監督にブーイングですがw石原さとみちゃんがイメージ通りの役を演じきったり、平山綾ちゃんのホラーばりの攻撃シーン(中途半端な映像ですが)で無理こじ御破算にしましたが。
中田ファン、米澤ファン、双方からブーイングが起きそうな映画ですが、ホラーでもミステリーでもない青春サバイバルゲームとして観るなら及第点なんでしょう。