タルトタタン

プラダを着た悪魔のタルトタタンのレビュー・感想・評価

プラダを着た悪魔(2006年製作の映画)
4.6
名作を遅ればせながら観賞。
支持される理由がわかりました。
「強いファッションを着て美しく強くなり自己実現をする私!」だけを伝えている映画ではないと思いました。

最近読んだ本に、やりたいこと(仕事)は①得意なこと②好きなこと③そして何より大事なこと(価値観)を掛け合わせることが重要だと書いてあり。
彼女はやりたいこと(目的)のために手段を選ばずランウェイ社に入社し、認められるため価値観を会社に合わせて(ファッションの強さを理解して)いく。認められて昇進すると、私生活は大きく変わる。その際に周りが離れてしまうこともある。
我武者羅に働く時期はおそらく夢の実現のためならあっても良くて、でもそれにより私生活を犠牲にして大事な人が去っていくか、新しい人や新しい環境を受け入れて進んでいくのかは、自分の価値観に沿って決めなければならない。
主人公は、我武者羅に進んだ結果、前者が自分の価値観だと気づいた。
主人公の目的はあくまでジャーナリストとして活躍する道であり、その過程の手段(ランウェイ社で活躍すること)に全てを捧げることではないと気づいたのである。

私たちも、働く上で目標に邁進することは大切であるが、その際に何を大切にしたいのか、自分の軸をしっかりと見極めることが重要であると思わせてくれる。

それと、この映画はアンハサウェイがファッションの強さを知り美しくなっていく過程も見どころではあるが、それが必ずしも女性に着飾って美しくしろと言っているようには聞こえない。最後、彼女はいつもの自分の服に戻るのだから。
たしかに自分の魅力を最大限にする服を着ることは、自信を与え、他人にもセンスがあるように思わせる力があることは確か。しかしその程度は試行し自分で選ぶことができ、自分の価値観に従って、自分がどのくらいでありたいのかを考える機会になれば良いのだと思う。

仕事のことを考えるとき、たびたび見返したい映画になった。