まぁや

ユメ十夜のまぁやのレビュー・感想・評価

ユメ十夜(2007年製作の映画)
3.8
ユメ十夜は、夏目漱石によって朝日新聞に一話ずつ掲載された幻想的なユメの物語だが、11人の監督達によって彩り豊かに彩飾され映像化されたオムニバス作品である。全部で十の短編物語であるが、わたしは第三夜のユメが強烈に心に残っている。

ある夜のこと、身重の妻に代わりむづかる息子をおんぶして田甫の畦道をふらり、ふらりと散歩する男。
すると我が子の目が急に潰れ盲の青坊主に様相が変わっていた。おまけに子供は大人びた物言いで話しかけてくる。
不気味に感じた男は"こんなものを背負っていてはこの先どうなるかわからない。どこかに捨ててしまわなければと"辺りを見回す。。

夜の青白さと、背負っているものの得たいの知れない恐怖で物語にどんどん引き込まれていく。

じわじわと焦燥感を煽る伏線の張り方と、回収の仕方がぽんと腑に落ちる見事さで、見終わったあとも余韻を楽しめた。
不気味ながらも逸走感溢れて心を惹き付ける優れた作品である。
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