ぴこ

ユリシーズの瞳のぴこのレビュー・感想・評価

ユリシーズの瞳(1995年製作の映画)
4.0
過去の出来事はすべての時間の層にわたりそれ自身のために保存されている。だからこそ、現在=過去において老人への生成と子どもへの生成が同時に起こる(家族の再会シーン)。家や建築物と道路の関係についての省察はやはりアンゲロプロスらしい。唯一のくつろげる避難場所であるはずの家が道路と連絡し、道路の容赦なき暴力が室内に侵入し、人々を不可避の彷徨へ誘う。そして死、それさえも血なまぐささはなく、アンゲロプロスにかかれば叙事詩的な壮大なものとなる。実際我々は暴力そのものを見ることはなく、お馴染みの霧に覆われた白いスクリーンと、ただ音声に反応することしかできない夢遊病者だけが存在する…
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