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爆撃機の眼
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『爆撃機の眼』に投稿された感想・評価

さまざまな音、が聴覚を刺激する。水のしたたる音、蝉の声、あらい呼吸音、ヘッドフォンから漏れきこえてくる音楽、自転車の軽快な走行音、ジュクジュクと何かが腐っているかのような濁った音、飛行するなにものかの爆音、そして鈍い、人体を傷つけ/痛めつける音。
ふたりの女子高生が辿る、雑音と爆音の渦のなかに存在する、水浸しの、湿った、腐敗のはじまっている、澱んだ悪夢のような世界。その世界では、水分を介してしか人々は関係を持ち得ない。雫(山岸彩子)は片思いする相手・水泳部の三雄に運動後水分の入った容器を渡すことによって、接近することをひとまず許される。しかし水分を介しての密接な関係性は、水泳部のコーチと三雄とのほうが、より巨大な容量の水分で毎日つながっていたのだ。コーチは濡れた体の三雄を愛撫し、雫から三雄への貢ぎ物である水分を捨て、己の水分を与える。雫は恋に敗れる。雫にキスされた三雄の唇から、汚いものを吐き出すかのように唾が吐かれる。水分の交換=交流は拒まれたのだ。
密接につながっていた筈の雫が三雄にうつつをぬかし、自分と疎遠になってゆくのを我慢出来ないもうひとりの女子高生・時子(河井青葉)は、三雄を襲撃する、鈍器で倒したあと、ペットボトルの水分で三雄を制圧する。この件により時子と雫の関係は絶望的に悪化する。三雄と水分を介して関係を持つことが出来ない雫を後目に、暴力的/強姦的に時子が水分を介して三雄と関係してしまい、雫と三雄との関係の不可能性を露わにしてしまったのだから。
季節は夏。ひとり、周囲から、世界から孤立する時子。
水浸しのこの世界のルールを飛び越えた無法者に与えられる水分はなく、夏のつよいつよい日差しから、水分を失い、死に瀕している。生き延びうる場所は、暗闇。生命たる水分をを奪ってゆく、つよい日差しから逃れうる暗闇。そして、時子は、とざされた暗い場所でひとりで生産出来る水分を反芻しつつ育ててゆく。
すなわち自ら腐ってゆくこと。腐敗し、液状となってゆくこと。
固い頭蓋骨のなか、ぎっしりと人間の魂の中枢が詰まっているはずだった頭蓋骨の中は徐々に粘液状に移り変わり、腐敗してゆくときの活発な音をたてる。人格と呼びうる筈のものは、関係=交通の手段としての水分にすり替わる。こうして急斜面を滑り落ちるようにして〈私〉を滅ぼしてゆく時子は、女性の眼を潰したうえに絞殺する連続殺人鬼の手におち、その瞳を奪われることになる。
瞳を奪われることは、水分が支配する世界の関係=交通から疎外された孤独な肉体が、あつい日差しによって水分を奪われるのを防ぐ最期の砦である暗闇と、等価であるから、ラストシーン、殺人鬼に拉致されたまま雫のすぐ脇をすれ違っても、雫と時子の間には感情の交流どころか、相手を互いに認識することさえ、もう、かなわない。交通は永遠に遮断されたのだ。

音をもつ、映像作品としての〈映画〉の本質が、関係=交通であるということ。カットと次にくるカットとの関係。観客席とスクリーン上のものとの関係。音と、視線を介して、初めて〈作品〉として現前する。

『爆撃機の眼』では、〈音〉と〈視線〉は、世界と関わるための暴力的な装置として機能する。負の、憎悪の感情をまとった、原理/原則/根源的な問いかけのような映画、だからこの映画をみて感じられるのは、さまざまな雑音、爆音への不快なささくれ立った不安感、そして〈視線〉のやりとりに込められた、愛、憎悪。

じっさいに、雫と時子の関係が変容していく過程の節々で、片方が片方を愛に焦がれるように見つめたり、自分の都合の良いように動かない相手をサッと睨みつける、その負の目配せ、チラ見は、不安定な画面のはしのほうから、素早く、行われる、その憎悪や愛の〈視線〉による〈攻撃〉の速度が、アクションしており、最も活気づく瞬間だと思う。憎悪の視線を凄い速さでおくる瞬間の河井青葉は、美しくて、切ない。『ガールフレンド』の彼女よりかがやいていた瞬間。

最終日のアップリンクXで観賞。客入りは小さなコヤに5割弱、客層はほぼ全員20歳から25歳くらい、男女比6:4。キネ旬のベストテン選考委員を外された塩田時敏さんが客席にいた。舞台挨拶は河井青葉と山岸彩子の両ヒロインと八坂俊行監督。
八坂監督、中性的で、犯罪的なオーラ。「もう(人前でこの映画が)かかる機会はもう二度とないでしょうから‥」と自虐。
上映後、ロビーにて女優さんは観客ひとりひとりに笑顔で来場のお礼を言い、監督は〈爆撃機の眼シール〉を手渡しでくれました。

2006.3