Miver2

緑の光線のMiver2のレビュー・感想・評価

緑の光線(1986年製作の映画)
4.7
人それぞれな女性達を中心とした人間模様の中で繰り広げられる会話が抜群の面白さ。
愛らしさや面倒臭さや拗らせぶりを物語にたっぷりと滲ませたその果てに、全てを持って行くラストシーン。
半端ないカタルシスとその余韻がとても深く響いて来る素晴らしい作品だった。

物語を観ていて、人それぞれな女性達を軸にした人間模様がとても観応えあって。
容赦無く強気だったり、鬱々しかったりしながら、時に的を得た、時に全くどうでも良い会話に笑ったり、時に身に詰まる場面があったりと。

物語は淡々としているようで、会話が一度転がり出すとその会話にはグルーヴみたいなものがあって。
どんどんギアが入って行ってるのを感じながら観るその場面がとても面白かった。
そして映し出される画の美しさがまた格別で。
まるで絵画のような美しさと同様な物がそこにはあったように思う。

しかし鬱々しさを醸し出すその女性の姿が印象的だったな。
孤独を感じつつも、その気持ちをある程度埋めたりやり過ごしたりする術はしっかり身についていて。
でも本当はこうあるべきなのは分かってるけど、っていうね。
ある種どうしようもなくなってるその面倒臭さが凄かった。
でもこれは俺も当てはまる所が凄くあるのでよく分かる。

語るそのシーンから滲み出る鬱々しさを物語に滲ませて、それをしっかり受け止めるタイミングと共にやって来るラストシーンの素晴らしさはとにかく圧巻で。
あのカタルシスは物語の余韻がより深く響く事もあって、より特別な物が感じられて素晴らしかったな。

今回「緑の光線」を観て、エリック・ロメール監督の他の作品も凄く観たくなった。
あの物語の描き方と人間模様は癖になる面白さがあるね。
人間模様を描く面白さって、万国共通だと思う。
特集上映期間中に他の作品も観れたら良いな。
観て良かった。
素晴らしい作品でした。
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