おおき

未知への飛行のおおきのレビュー・感想・評価

未知への飛行(1964年製作の映画)
4.8
この映画は今見るべきだとわかる内容でした。戦争という物がひき起こす末路はどのような物なのかを非常にうまく描いていた。今、世界では、ウクライナとロシアが戦争状態に陥っています。その最中だからこそ、この映画を見て、戦争の持つ恐ろしさを再確認してほしいと思いました。
ストーリーの始まりは、あるパイロットの夢から始まる。彼は夜な夜な奇妙な夢を最近見ていた。それは、闘牛が殺されていく、という物であった。彼はその闘牛で、なんとかして自分を殺す闘牛士の顔を見たいのだが、顔を見る前に夢から覚めてしまう。その日、彼は軍が新しく開発した水爆を積んだ戦闘機のテスト飛行をすることになっていた。彼の中では、いつもと同じ訓練の一環だと、思っていた。軍の管理室でも、最近最新のコンピューターを開発したばかりであった。管理室では、日々上空に飛んでいる飛行機が自国の領域に入らないように、監視していた。すると、1機の未確認飛行物体を確認したのだ。その飛行物体はどんどんアメリカの領空へと近づいてきた。管理室の緊張感が徐々に高まっていく。一様のため、軍は何隻か付近で訓練飛行をしていた隊にロシアに向かって飛行するよう命令を下した。しかしその謎の飛行物体は、ただの旅客機で、ルートを大きく旋回して飛行しているだけなのがわかった。管理室は安堵し、すぐさま追跡を追わせた隊に帰還命令を下そうとするのだが、なぜかコンピューターがうまく反応しない。彼らに連絡が取れない。その理由は新たなコンピューターを使用したことによる故障だということがわかったのだが、その時には、彼らの隊はロシアの領空に接近していた。このままでは、ロシアはアメリカが空爆を企んでいるのではと考え、攻撃をしてくる可能性があるとアメリカは危惧した。そして、アメリカはこの隊を止めるため、信じられない手段を取り始める。
この物語は、冷戦の時のアメリカとロシアの関係性を模範として作られた映画となっています。なので、常に緊迫感や焦燥感を僕たちも感じることができ流のです。特に、途中からアメリカの大統領が登場し、ロシアのトップと電話会談をおこなっているときの緊張感はただ物ではありませんでした。彼らの会話で、2国の大きな国の運命がかかっていると考えると、見ているこっちもハラハラします。この映画は戦争とは、という題材も含まれているのですが、私はこの映画を見て、戦争とは、一種の子供の喧嘩のような物なのではないか、と感じました。子供の喧嘩は、どちらか先に手を出した方が悪いという考え方が広く浸透していると思います。なので、喧嘩が始まるまでは、互いに様子見をして、言葉による罵り合いなどから起こります。そして、いざ喧嘩が始まると、両方が泣くまでその喧嘩は止まりません。さらにその喧嘩の発端は、と彼らの親が問いただしても、彼らはどうしてそれが起こったのかを覚えていないことが多いように感じます。戦争もそれと非常に似ていると思います。今作では、アメリカの不慮の事故によって、始まりますがが、そこからは、互いの悪い面を言い合い、自分たちが無実であることだけをまず主張する。それぞれの国が自国のことしか考えていません。そして、実際に事態がヤバい方向に向かうと、なんとか対策を練ろうとするが、この事態に陥った根本的理由を考えてこなったため、結局、問題解決までには至らないのだ。戦争の悲惨さと無意味さを両方知ることができる秀作だと間違いなく言える作品でした。もう一本これと同じ題材の映画で、博士の異常な愛情、という映画があるのですが、それは全く異なるタッチで作られているらしいので、今非常に興味があります。今の世界だからこそこれらの映画を我々は見るべきだと思います。自分たちの意見をいつでも発信する準備のようなもので、それらを持つことは、自分をさらに成長させます。またそれは、自分の信念を固く持つことができ、生きていく上でも非常に大切だと思います。
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