未知への飛行の作品情報・感想・評価

「未知への飛行」に投稿された感想・評価

設定が『博士の異常な愛情』に似ているシドニー・ルメット監督作品。(但し、作風は両者ぜんぜん異なる。)
製作年も同じ年。

アメリカの水爆搭載した軍用機が、機械の故障で「モスクワに水爆を落とせ」という指令を受けて、4機が水爆落としに向かってしまう。
これをアメリカ大統領(ヘンリー・フォンダ)が直接パイロットに指示しても止められないという設定が良い。

米国大統領はソ連に電話して、「モスクワに向かった軍用機を撃墜してくれ」と頼むが上手くいかない。
ソ連も疑うので、大統領は誠意を見せて「もし、モスクワに水爆が落とされたら、こちらも自らニューヨークに水爆を落とす」と発言するが……


なかなかシビアで現実的な描き方が、スタンリー・キューブリックの風刺的な描き方とは異なっていた。
ちょっと難しかったけど
ラスト10分の展開は
この前北朝鮮からのミサイルでJアラートが鳴った時のドキドキに似てた
解説を読みながら補完したい
映画史上に残る効果音。

スゴイ作品でした。
全面核戦争となる“可能性”を描いた物語なのですが、シドニー・ルメット監督の筆致で描かれる緊迫した空気と足元に漂う恐怖は、画面から目を離すことが出来ないほどに見事。最小限の予算という制約も監督の硬質な演出と相性が良く、想像力をビンビンと刺激してきます。

また、劇場初公開されたのは1964年。
その2年前に起きた“キューバ危機”の記憶もまだ鮮明な頃なので、その空気感がフィルムに焼き付いて、異様な作品に仕上がっているのです。何しろ、暴発の“可能性”はまだ残っていたでしょうからね。製作者たちが本気で“可能性”に対峙し、作品を仕上げたことは想像に難くないのです。

ちなみに本作の中で。
「自国の利益を守るためには先制攻撃を行うべきである。全体を守るためならば多少の被害も仕方がない」と主張する人物がいますが…実際にも同じような進言を行った将校がいたそうですよ。彼は東京大空襲や朝鮮戦争などで活躍していて発言力もあったそうですが…その意見が取り入れられなくて良かった、と心底から思う次第。

でも、本当に怖いのは。
イデオロギーに縛られた人たちの極端な発言ではなく。誰も望まないのに大量破壊へと走り出すシステムを作った人間そのもの。剣と剣、銃と銃、ミサイルとミサイル。過熱していく暴力は、本当に自分たちの足元を壊しかねないのです。その愚かなる競争が終わる時は来るのでしょうか…。

まあ、そんなわけで。
現代の感覚で鑑賞すると首を捻る展開もありますが、その辺りは脳内補正するのが大人の嗜み。緊迫した国際情勢の中で、本作を鑑賞する意義は大いにあると思います。人間の愚行に思いを馳せ、平和を祈願するためにも是非。

あ、それと。
同年に公開された『博士の異常な愛情』も続けて鑑賞すると、当時の雰囲気を大いに味わうことができると思います。二作とも“キューバ危機”に触発されたことは明白ですからね。

ただ、お節介の極みを言うならば。
『博士の異常な愛情』はブラックユーモアが強いので、本作を先に鑑賞したほうが良いでしょう。ユーモアは“シリアスな現実”を際立たせる最良の手段。先にシリアスな部分を観ておいた方が、両方の作品を堪能できると思うのです。勿論、どちらの作品が好きかは…人それぞれですけども。
かのキューブリックは博士の異常な愛情を撮るとき「こんな題材の作品コメディにしかならねえよ」と思いあのブラックコメディ路線の映画が出来上がったらしいが、この映画を見ると納得せざるを得なかった

というかキューブリックの鮮烈な傑作を見た後だったため、こいつら何こんなクソ真面目に語ってんだと失笑せずにはいられず、何度見てもその冷笑的感覚は消えないだろう

でもラストシーンは雑ながらも印象に残る演出がされていて嫌いじゃない
ルメットにしては面白いが、ほぼウォルター・マッソーの強烈なキャラのおかげ。
 アメリカ・ソ連が協力して核戦争を回避しようとするポリティカル・サスペンス。もっぱら政府上層部の会議のみで展開するお話で、「シン・ゴジラ」に熱狂した方にお勧めしたい。
 「今更60年代の『核の恐怖』なんて...」ともいえるが、まあ残念ながら戦争の危機なんて今の日本にもあるしね?そういう意味でもまだ風化してない作品なのではないか。

 クオリティは高いのに同じ題材・同じ年に制作された「博士の異常な愛情」ほどの知名度はない。序盤に若干もたつくからだろうか。
と

との感想・評価

3.7
「博士の異常な愛情」と類似してる作品。
こっちの方がコメディ要素薄めかな。
でも好きな映画。
micktiger

micktigerの感想・評価

4.5
米ソ核戦争を題材とした映画。
血を流すシーンは一切ないのにこの緊迫感。
機械やシステムに対する人間の"執着"と"過信"
一方で、同類であるはずの人間同士の"不信"
戦うことを人間は心から望んでいるのか。
それとも闘牛のように他力によって操られたカルマなのか。
かーし

かーしの感想・評価

3.0
まじめなDr.Strangelove感あった。
mikoyan358

mikoyan358の感想・評価

4.5
2010/2/11鑑賞(鑑賞メーターより転載)
監督シドニー・ルメット、主演ヘンリー・フォンダといえばどうしても「十二人の怒れる男」ばかり思い浮かぶが、同じ組み合わせのこの映画の完成度も並ぶほど高かった。米ソ冷戦下で機械に頼った手違いから起こる水爆投下の恐怖。それを生の戦闘シーンを殆ど入れず閉ざされた空間で会話を積み上げるという「十二人」と同じ手法で、観ているこちらが逃げ出したくなるような極限の緊張感を持った心理戦に仕立てている。これだけ脚本と見せ方が秀逸ならば派手さなんて不要。今のハリウッドにこんな「濃い」映画を創造する心意気はあるか?
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