MasaichiYaguchi

パイナップル・ツアーズのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

パイナップル・ツアーズ(1992年製作の映画)
3.4
今年、沖縄は本土復帰50周年を迎えた。
それを記念してか、デジタルリマスター版で30年振りに蘇った、沖縄の架空の島「具良間島」を舞台に個性的な住民たちが繰り広げる騒動を描いた3話構成のオムニバス映画は、第2次世界大戦の負の遺産であるアメリカ軍の不発弾を題材にしてはいるが、それを笑い飛ばすようなバイタリティがある。
3話は、原因不明の病で声が出なくなったオペラ歌手の麗子が、ユタと呼ばれる霊能者からその意外な原因を知らされるエピソードを描く「麗子おばさん」、島に居ついたヤマトンチュの青年が島の娘と結婚させられそうになり、逃げ出そうとする様を描く「春子とヒデヨシ」、島のはぐれ者2人組が、リゾート開発会社が不発弾にかけた懸賞金で一獲千金を狙う「爆弾小僧」という構成になっていて、喜屋力さん、中江裕司さん、當間早志さんが夫々の話の監督を務めている。
3人の監督によるオムニバスだが、モチーフや登場人物たちがエピソードを横断して登場し、繋がって恰も一本の劇映画になっている。
基地や環境、貧困の問題が取り沙汰されている沖縄だが、当時20代の監督たちが紡いだ物語は、全編に笑いと活力に満ち溢れていて、沖縄の抜けるような青空と海を感じさせてくれます。